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2020年6月29日月曜日

虹の色はどこから?ー虹ができる仕組み②

虹の探究のはじまり

 雨上がりの空になぜ虹がかかるのか。古代より多くの学者たちが、その解明に取り組みました。

 古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、著作「気象論」において、虹は大気中に浮遊した水滴が鏡のように光を反射するため生じると説明しています。そして、色は光と闇の間に生じ、白と黒の混合によって様々な色を作ることができると考えたようです。アリストテレスの説明は誤っていますが、虹が出来る仕組みについて神学的、宗教的な捉え方を排除し、探究を行いました。

 虹について世界で初めて科学的な手法で探究を行ったのはフランスの物理学者ルネ・デカルトです。デカルトは1637年に発表した「方法序説」において、虹は光が雨上がりの空に浮遊する水滴で屈折・反射することで生じると記しています。

【方法序説】
デカルトが1637年に発表した方法序説の正式名称は「 理性を正しく導き、科学の真理を探究するための方法の談話(方法序説)。加えて、その方法の試みである屈折光学、気象学、幾何学。(Discours de la méthode pour bien conduire sa raison, et chercher la vérité dans les sciences. Plus la Dioptrique, les Météores et la Géométrie, qui sont des essais de cette méthode.)」です。デカルトは500ページ以上の著作を発表していますが、現在は最初の78ページまでの序文を方法序説と呼んでいます。光の屈折や虹の仕組については「屈折光学」「気象学」に記載されています。有名なデカルトの虹の絵はp251に掲載されています。
フランス国立図書館所蔵の当時の方法序説全文
Descartes, René (1637). Discours de la méthode pour bien conduire sa raison et chercher la vérité dans les sciences, plus la dioptrique, les météores et la géométrie


デカルトの虹の絵(方法序説・気象学)

 デカルトは水滴中の光の道筋を理論的に計算し、虹が見える角度を正確に求めました。そして、水を満たしたガラスびんに光を通して、光の道筋を調べて検証しています。しかし、虹の色が生じる理由を正しく説明するまでには至りませんでした。

虹の色はどうして生じるのか

 古代ギリシャの時代から、光は透過する物質によって性質が変化し、様々な色を呈するというアリストテレスの光の変改説が信じられていました。17世紀ぐらいまでは、多くの学者は、プリズムで光の色の帯が生じたり、空に虹ができたりする仕組みは光の変改説で説明できると考えていました。

 1666年、イギリスの物理学者アイザック・ニュートンは、無色の太陽光をプリズムに通すと、赤から紫まで連続的に変化する光の色の帯が現れる現象を観察する実験を行い、光の色の帯のことをスペクトルと名づけました。この現象を光の分散といいます。前述の通り、この現象そのものは当時既に知られており、ニュートンによって新たに発見されたものではありませんが、ニュートンは色がどうして生じるのかについて研究を進めました。

 そして、ニュートンは、一連の実験で、プリズムで作ったスペクトルをレンズともう1つのプリズムで集めると、太陽光と同じ無色の光にもどることや、光の色の帯から任意の2色の光を取りだして混合すると、別の色が現れることを発見しました。


1704年頃のニュートン(左上) Opticks(左下) ニュートンのプリズム実験(右)

 ニュートンは1704年に著した『Opticks 和名:光学』のPART II. PROP. I. Theor. I. においてアリストテレスの変改説を否定しています。ニュートンは、太陽光は様々な色の光が混合したものであることを緻密な実験で確かめ、虹の色は太陽光に由来することを突き止めたのです。

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