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2022年4月6日水曜日

凸レンズでスクリーン上にできる実像の見え方を確かめる方法

凸レンズの実像はスクリーンにどのように映るか

 凸レンズでできる実像のでき方についてよく次のような問題が取りあげられます。

問1「次の図のようにFと穴を開けた板の実像をスクリーンに映したとき、凸レンズ側から見たときに実像はどのような形に見えるか。ア~エの中から選びなさい。」

図1 凸レンズでスクリーン上にできる実像の問題
図1 凸レンズでスクリーン上にできる実像の問題

 上図に実像を加えたものが下図のようになり、スクリーンに上下左右が反転した実像ができます。ですから上記の問題の答えはウになります。

図2 凸レンズでスクリーン上にできる実像の答え
図2 凸レンズでスクリーン上にできる実像の答え

 それでは問1の問題文が次の問2のようになったときに答えはどうなるでしょうか。

問2「次の図のようにFと穴を開けた板の実像をスクリーンに映したとき、スクリーン側から見たときに実像はどのような形になるか。ア~エの中から選びなさい。」

 問1の「凸レンズ側から見たときに」が「スクリーン側から見たときに」と変わっています。「スクリーン側から見たときに」はスクリーンの前側から見るのか、後側から見るのか釈然としない表現ですが、スクリーンの後側から見ると解釈しなければいけません。ですから、答えはスクリーンの後方(図ではスクリーンの右側)からみたときの実像の形を選ぶことになります。つまり答えはエです。

 凸レンズでできる実像の仕組みを理解しているかどうかを確認するのであれば、問題としては問1で十分なはずですが、問2のようにスクリーンを見る方向を変えた問題がよくあります。図2のように実像を書き込むことができていれば正しい答えを導くことはできると思いますが、問題をよく読まずにウと答えたり、あわてて誤答したりする人も多いでしょう。

 実際、問2に正答するには凸レンズでスクリーンに実像ができる仕組みの理解に加えてパズルのようなテクニックが必要です。問題をややこしくしているだけのような気もします。そうは言っても試験に出ますから、あわてずに正しい答えを導くことができるようにしておかなければなりません。このような問題では問題文をよく読んで、どの方向から見たときの実像を答えるのかしっかり確認しておく必要があります。

 次の図は物体とスクリーン上の実像を前後から見たときの見え方をまとめたものです。この図は物体と実像をそれぞれ表と裏から見たらどうなるかを示したものに過ぎません。じっくり考えれば答えを間違えることはありません。

物体とスクリーン上の実像を前後から見たときの見え方
図3 物体とスクリーン上の実像を前後から見たときの見え方

 しかしながら、あわてて混乱してしまうと図を見ていても正しい答えを導くことができなくなってしまいます。物体の形がこうだから上下左右反転してできた実像をこちらの方向から見たら・・・ややこしい限りです。テスト中には道具を使うこともできません。どうしたら良いでしょう。

凸レンズの中心を通る光線のみ考えてみる

 凸レンズでできる実像を考えるとき凸レンズを通る3本の光を考えて作図しますが、実像の向きだけを知りたいのであればレンズの中心を通る光線だけを考えれば十分です。これはピンホールを通る光線と同じです。この方法では凸レンズでできる実像の大きさは求めることができませんが物体に対して実像の向きがどうなるかはわかります。

ピンホールでできる
ピンホールでできる像

実像の見え方をどのように確認するか

 実像の見え方を確認する方法はいろいろなアイデアが出てくるかと思いますが、ここでは両手で確認する方法を紹介します。

 左手と右手を比べてみましょう。左手と右手は同じ形をしていますが重ね合わせることはできません。左手を鏡に映すと鏡の中に左手の虚像が見えます。この左手の虚像は右手と同じ形をしています。ですから左手と左手の虚像も重ね合わせることはできません。左手と右手の間に鏡が存在すると考えると、物体と鏡の中に映る虚像の関係を確かめることができます。左手と右手のような関係を鏡像の関係と言います。右手を鏡の中に映った左手の虚像と考えると、実際に鏡がなくても鏡にどのようにものが映るかを考えやすくなります。

左手と右手は鏡像の関係にある
左手と右手は鏡像の関係にある

 さてこの左手と右手の鏡像の関係を利用すると物体と凸レンズできる実像の関係を確かめることができます。物体と凸レンズでスクリーン上にできる実像の関係は上下左右が反転しています。そこで左手を物体としたときに凸レンズでスクリーン上にできる実像の見え方は上下を反転させた右手のようになります。

両手で物体と実像の関係を調べる
両手で物体と実像の関係を調べる

 親指と人差し指でLの字の形を作ったり、人差し指と中指と薬指の関節を利用したりすると物体と実像の関係がわかります。

 両手を下図のように並べて人差し指と中指と薬指の関節でFを考えてみましょう。

人差し指と中指と薬指の関節でFを考えて見る
人差し指と中指と薬指の関節でFを考えて見る①

 右手だけ上下をひっくり返します。

人差し指と中指と薬指の関節でFを考えて見る
人差し指と中指と薬指の関節でFを考えて見る②

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