サイト検索

2023年5月23日火曜日

色温度|図解 光学用語

色温度とは(いろおんど、color temperature)

 光源が発する光の色を熱放射で光を出す物体の絶対温度(K)に換算して表した尺度を色温度といいます。色温度によって光源の色を数値的に表すことができます。

 熱放射で光を出している物体についてはその物体の色から温度を知ることができます。たとえば太陽など宇宙に輝く恒星はその色から表面温度を知ることができます。白熱電球も熱放射で光を出しているのでその色から温度を知ることができます。溶鉱炉では鉄の色から温度を測定します。逆に物体の温度から物体の色を知ることができます。

 一方、LEDや蛍光灯などの光源は熱放射で光を出しているわけではありません。このような場合、その色から温度を知ることはできませんが、物体が出す光の色から換算された色温度から物体の色を知ることができます。。例えば蛍光灯の色味は昼白色(5000 K)や白色(4200 K)などと分類されます。

光源の色と色温度
光源の色と色温度

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

人気ブログランキングへ

2023年5月17日水曜日

正視・近視・遠視が老眼になるとどうなる?|老眼になる原理と仕組み

はじめに

 年齢を重ねるとともに近くのものが見えにくくなるのが老視(老眼)です。目が正常な人が老眼になると遠くは良く見えるものの近くが見えにくくなり老眼鏡が必要となります。一方、近視の人は近視眼鏡を外すと遠くが見えなくなりますが近くは良く見えます。

 このように正常な眼の人と近視の人では症状が異なりますが老眼になる仕組みは同じです。老眼になると見えづらくなるため心配になる人もいますが、老眼になる原理や仕組みを知れば生理的な現象であることがわかり老眼鏡の選び方もわかります。

眼はどのようにピントを合わせているのか

 ヒトの眼は遠くのもや近くのものを見るときには毛様体を弛緩・収縮することによって水晶体の厚みを変えて網膜に綺麗な像ができるようにピントを合わせます。眼が遠いところを見るときは毛様体が弛緩し水晶体が最も薄い状態になります。近くのものを見るときには毛様体が収縮して水晶体が厚くなります。この働きによって私たちは近くのものや、遠くのものにピントを合わせて明瞭に見ることができるのです。

眼の構造
眼の構造

 老眼で近くのものが見えなくなるのは老化によって毛様体筋で水晶体の厚みを調節する能力が低下し水晶体を厚くすることができなくなるからです。一方、水晶体が薄くなる調節能力は低下しないので遠くの見え方は変わりません。遠くがどこまで見えるかは元々の眼の視力によります。

眼でピントを合わせることができる範囲

 次の図のように眼でピントを合わせることができる最も遠いところを遠点、最も近いところを遠いところを近点といいます。近点と遠点の間がよく見える範囲でこれを明視域と呼びます。正常な眼(正視)の遠点は無限遠にあります。一方、近点は若い頃は約10 cmぐらいですが加齢とともに長くなります。正視の成人の近点は個人差はありますが25 cm とされています。

明視域と近点と遠点
明視域と近点と遠点

 眼は近点より近いところにピントを合わせることができません。正視の成人でものがよく見える範囲は近点(約25 cm)以上離れたところ です。この25 cmを明視の距離といいます。近視や遠視の遠点と近点の位置は正視とは異なるため明視域が変わります。

正常な眼(正視)の働き

 正視が遠くのものを見ているとき、毛様体は弛緩しており水晶体は無調整の状態で最も薄くなっています。この状態で正視は無限遠にある物体の像を網膜上に結びます。


 遠くを見ている状態では近くのものが良く見えません。水晶体が薄い状態では近くにある物体からやってくる光は網膜の後側で像を結ぶように届くからです。


 近くを見ているとき、毛様体は収縮して水晶体を厚くし物体の像を網膜上に結ぶようにピントを合わせます。


正視が老眼になると

 老眼で近くのものが見にくくなるのは老化によって水晶体の厚さの調整能力が低下し近点が遠くなるからです。正視が老眼になると遠点は無限遠で変わらず遠くは良く見えますが、近点が遠のいて近くが見えづらくなります。つまり明視の距離が25 cmより長くなります。たとえば読書をするときには本を眼から遠くに離さないと見えずらくなります。明視の距離がどれぐらい長くなるかは老眼の度数によって異なります。


 老眼を矯正するには眼の屈折力を強めて網膜にピントが合うようにする必要があります。そのため光を集める働きのある凸レンズを使用します。どれぐらいの焦点距離の凸レンズが必要になるかは、老視の度数によって決まります。老眼を理想的に矯正すると近点を25 cmになりますが、遠点が近づくため遠くがみえづらくなります。

 正視の人は「眼が良いので早く老眼になった」と感じることがあります。しかし、老眼は毛様体による水晶体の厚さの調節能力の低下が原因です。老眼になる時期がいつになるのかはもともとの視力は関係ありません。正視の人は普段かから眼鏡もかけておらず遠くも近くも良く見えるので老眼になり始めると早めに気が付きやすいという面があります

 早めに老眼に気が付くことから眼が良くて遠いところが見えるので近くが見えづらくなったという理由付けをする人もいます。上述の通り根拠はありませんので、これが耳障りに聞こえる人もいるかもしれませんが、誰もが加齢と共に老眼になりますので温かく見守ってあげてください。

近視が老眼になると

 近視は眼の屈折力が正視より大きい状態です。水晶体が厚くなり薄い状態に戻らない症状と眼の奥行きの長さ(眼軸長)が正視よりも長い症状が複合的に生じ、遠くの物体の像が網膜より手前で結ばれてしまうためピントが合わなくなります。そのため近視の遠点は無限遠になく近視の度数の分だけ手前に近づいて有限距離になります。一方、近点については正視より短い距離のところにピントを合わせることができます。つまり明視の距離が25 cmより短くなります。


 近視を矯正するには眼の屈折力を弱めて網膜にピントが合うようにする必要があります。そのため光を広げる働きのある凹レンズを使用します。近視を理想的に矯正すると正視と同じ状態になり、遠点は無限遠となり近点も25 cmになります。老眼になっていなければ近くも遠くもよく見えます。


 近視が老眼になるとどのようになるでしょうか。近視眼鏡をかけている状態では正視の場合同じで遠くはよく見えますが近くが見えづらくなります。一方、近視眼鏡を外すと眼の屈折力が元に戻って正視より強くなるため、遠くは見えづらくなりますが、近くはよく見えるようになります。ですからある程度進んだ近視は眼鏡を外すと近くが見えるようになるため老眼鏡を使わずに済みます。また弱い近視は眼鏡を外しても近くが良く見えるようになりませんが正視の老眼に比べるとやや余裕があります。このことから近視の人は正視の老眼に気が付きにくいという面があります。

遠視が老眼になると

 遠視は眼の屈折力が弱いか眼軸長が短いのが原因です。毛様体が弛緩して水晶体が最も薄い状態で遠くを見たとき、遠くの物体の像が網膜より後側で結ばれてしまうためピントが合わなくなります。つまり遠視の遠点は正視の遠点(無限遠)より遠くにあることになり、遠くを見るときも毛様体を収縮させて水晶体を厚くしています。一方、遠視の近点は水晶体の調節能力が十分にあるうちは正視とさほど変わりませんが、正視よりも余計に毛様体を収縮して水晶体の厚くする必要があります。つまり、遠くを見るときも近くを見るときも毛様体が収縮していつも眼が休まることなく緊張している状態です。


 遠視は水晶体の調整能力が十分にあるうちは遠くも近くも良く見えます。遠くが良く見えるため眼が良いと勘違いしやすいのですが、遠視が進むと眼が疲れやすいなどの症状がでるため矯正が必要です。遠視を矯正するには像を網膜上に結ぶようにするため眼の屈折力を強める必要があります。そのため凸レンズを使って網膜に像ができるようにピントを合わせます。遠視を理想的に矯正すると正視と同じ状態になり、遠点は無限遠となり近点も25 cmになります。凸レンズで矯正することにより眼が過度に緊張状態にならないようにすることができます。

 遠視が老眼になると遠視眼鏡をかけていない状態では正視と同様に近くが見えづらくなります。遠視眼鏡をかけている状態では裸眼の状態より近点が近づいているはずですから初期の老眼には対応できるでしょう。しかし、遠視眼鏡をかけている状態で近くが見えづらくなった場合には度数の高い老眼鏡をかけて近点を近づける必要があります。すると今度は遠点が近づくため遠くが見づらくなります。

老眼の矯正

 正視の老眼は老眼鏡をかけると近くは見えるようになりますが遠くは見えづらくなります。近視の老眼は近視眼鏡を外すと近くは見えるようになりますが遠くが見えづらくなります。正視の老眼はより度数の強い遠視眼鏡にすると近くは見えるようになりますが遠くは見えづらくなります。

 正視か近視か遠視か、また度数がどれぐらいかによって程度は異なり見ますが老眼鏡をかけると近くが見えるようになり遠くが見えづらくなります。

 読書やパソコンの使用など見るものまでの距離を固定できる場合は普通の老眼鏡で対応できますが、中距離や遠距離を見ようとすると老眼鏡を外したり眼鏡をかけ直したりする必要があります。近くも遠くも見たい場合は遠近両用眼鏡が便利です。遠近両用眼鏡はレンズの上側と下側で屈折率が異なり視線を移動することによって遠近を使い分けます。遠くを見るときはレンズの上側を使い、近くを見るときは視線を下げてレンズ下側を使ってものを見ます。遠近両用眼鏡には境目のある二重焦点レンズと境目のない累進屈折レンズがあります。

 正視の人の遠近両用眼鏡はレンズの上側には度が入っておらず下側が凸レンズになっています。近視の人のものはレンズの上側は近視眼鏡(凹レンズ)で下側は近視の度数が低いか度が入っていません。遠視の場合は上側は遠視眼鏡(凸レンズ)で下側はさらに度数が強くなっています。

 単焦点のコンタクトレンズは付け外しが必要なため老眼のみの矯正には向いていませんが、コンタクトレンズにも遠近両用のものがあります。遠近両用コンタクトレンズは大きくわけると、交代視型(視軸移動型)と同時視型があります。

コンタクトレンズ 交代視型と同時視型
コンタクトレンズ 交代視型と同時視型

 交代視型はレンズに遠くを見る遠用部と近くを見る近用部があり、遠近両用の老眼鏡と同様に視線を移動することによって遠近を使い分けます。同時視型は遠用部と近用部から入った光が同時に網膜上に結像します。眼が遠くを見ているときには近くのものの像がぼやけ、近くのものを見ているときは遠くのものの像がぼやけることになりますが、脳が網膜上でピントが合った方の像を見るように選択します。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

人気ブログランキングへ

2023年2月17日金曜日

凸レンズを半分隠すと実像と虚像はどうなるか

 凸レンズを半分隠すと実像と虚像がどのようになるかという問題があります。この問題は物体の1点から出た光が凸レンズをどのように通り抜けてくるかを考えるとわかります。

凸レンズを半分隠すと虚像はどのように見えるか

 虚像は凸レンズを通ってやってくる光をそのまま見ているだけです。レンズの屈折の働きで物体が大きく拡大されて見えますが、透明なガラス板の向こう側にある物体を見ているのと変わりません。ですから凸レンズを半分隠すと隠した部分の光が眼に届かなくなるため次の図ように虚像が欠けて見えます。凹レンズで見える虚像も同じ結果になります。

凸レンズを半分隠すと虚像はどのように見えるか
凸レンズを半分隠すと虚像はどのように見えるか

凸レンズを半分隠すとスクリーンに映る実像はどうなるか

 次の図のように凸レンズで天井の蛍光灯の実像を机の上に映したとき、凸レンズを半分隠すと実像はどのようになるか実験してみましょう。

凸レンズを半分隠すと机の上に映る蛍光灯の実像はどうなるか
【実験】凸レンズを半分隠すと机の上に映る蛍光灯の実像はどうなるか

 凸レンズで実像ができる仕組みは中学校の理科で習います。物体の1点から出て凸レンズを通る光のうち「1. レンズの光軸に平行に入る光」「2. レンズの中心を通る光」「3. 凸レンズの手前の焦点を通る光」の3つの光は次のような進み方をすると習います。

  1. 凸レンズの光軸に平行な光は屈折したあと焦点を通る。
  2. 凸レンズの中心を通る光は屈折せずにそのまま直進する。
  3. 凸レンズの手前側の焦点を通る光は屈折したあと光軸に平行に進む。

 凸レンズでできる実像はこの3つの光線を使って次のように作図することができます。この3つの光の交点が物体の1点に対応する像ができる位置となります。 

凸レンズの光の進み方(実像の場合)
凸レンズの光の進み方(実像の場合)

 上図では物体の1点から出る3つの光線しか描かれていませんが、実際には物体の1点から光は四方八方に出ています。物体の1点から出るたくさんの光線のうち凸レンズを通る光線を描くと次の図のようになります。

凸レンズの光の進み方(実像の場合)
凸レンズの光の進み方(実像の場合)

 それではこの図を使って凸レンズをしゃへい板で隠すとスクリーンに映る実像がどのようになるか考えてみましょう。光の進み方は次の図のようになります。

凸レンズをしゃへい板で半分隠すと実像はどのようになるか
凸レンズをしゃへい板で半分隠すと実像はどのようになるか

 この図を見るとわかるとおり物体の1点から出たレンズに入る光線にはしゃへい板でさえぎられるものとレンズを通り抜けるものがあります。レンズを通り抜けた光線は実像を作ります。またこの図からレンズを通る光線が少なくなることがわかります。これは実像をつくる光の量が減るということですからスクリーンに映る実像はもとの実像よりも暗くなることを意味します。ですから最初の実験の結果は次のようになります。

  • 凸レンズを半分隠しても机の上には蛍光灯の実像が映る
  • 凸レンズを隠した分だけ光の量が減るので実像は暗くなる

 それでは凸レンズをさらに隠すとどのようになるでしょうか。次の図のように凸レンズを隠していくと物体の下部の方から出る光がしゃへい板に遮られてレンズを通らなくなります。

凸レンズをしゃへい板でさらに隠すと実像はどのようになるか
凸レンズをしゃへい板でさらに隠すと実像はどのようになるか

 図のようにBから出る光がすべて遮られるとB点に対応する実像B' ができなくなります。このように物体の下部から実像が消えて行きます。

半分隠した凸レンズをのぞくと実像はどのように見えるか

 凸レンズでできる実像はスクリーンを使わずに凸レンズをのぞくと眼で実像を直接観察することができます。このとき凸レンズを半分隠すと実像はどのように見えるでしょうか。

 この場合、凸レンズから出て眼に入る光線を考える必要があり ます。次の図は同じ焦点距離の2枚のレンズを並べて、スクリーンに実像をつくる様子を示したものです。

半分隠した凸レンズをのぞくと実像はどのように見えるか
半分隠した凸レンズをのぞくと実像はどのように見えるか

 凸レンズ L1でできる実像は凸レンズ L2 にとっての物体になりますが、L1 実像は凸レンズL1 から出てきた光線で作られた実像ですから実際の物体とは異なり光を四方八方に出しておらず特定の方向にしか光をだしていません。

 そのため凸レンズ L1 を下側から隠すと物体の上側の方から出て凸レンズ L2  に入射する光線(たとえば赤色の光線)がなくなりスクリーンにできる実像が欠けることになります。

 これと同じようなことが凸レンズでできる実像を眼で直接見ている ときにも起こります。凸レンズ L1 をルーペ、凸レンズ L2 を眼のレンズ(角膜と水晶体)、スクリーンを網膜としましょう。凸レンズ L1 でできる実像の光が眼に入ってこなければ実像が欠けて見えることになります。このとき眼の位置をずらすと実像の見える範囲も変わります 。

2022年11月21日月曜日

ディオプター|図解 光学用語

ディオプトターとは でぃおぷたー、 diopter

 ディオプターはディオプトリとも言いレンズの度数(屈折力)の単位です。次の式のように焦点距離f(m)の逆数と定義され記号Dで表されます。1 Dのレンズはレンズの後側 1 mに焦点を結ぶ凸レンズになります。この式からDが大きいほど焦点距離が短くなることがわかります。

 ディオプターは主に眼の屈折異常の矯正で用いられています。眼の屈折異常の度合いはその矯正に必要な眼鏡レンズのディオプターを用いて表します。次の表はディオプター(D)と焦点距離(f)の関係を表したものです。

D 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 5.0
f(m) 2 2 0.67 0.5 0.4 0.33 0.29 0.25 0.2

 凸レンズのディオプターは上表の通りで正の値ですが、凹レンズのディオプターは-1 Dのように負の値で表します。ですから凸レンズで矯正する遠視と老眼の眼鏡レンズのディオプターは正の値、凹レンズで矯正する近視の眼鏡レンズのディオプターは負の値となります。

 それでは正視の眼、近視の眼、老眼について考えてみましょう。

正視の眼

 眼は遠いところを見るときには水晶体を薄くし、近いところを見るときは水晶体を厚くしてディオプトリを変化させてピントを合わせます。

 正視の眼の遠点は無限遠のため f = ∞ として D = 0となります。一方、成人の正常な眼の近点を25 cmとすると f = 0.25 で D = 4 になります。つまり無限遠の遠点から 25 cmの近点のところまでを見るのに4 D分の屈折力を調整できるということです。遠点から近点までよく見える範囲を明視域といいます。明視域は近視や老眼などになると変わります。

近視の眼の場合

 -2 Dの近視眼は正視の眼に2 Dの屈折力を加えたのと同じです。つまり眼鏡などで近視の矯正をしていない状態でも2 Dの凸レンズをつけている状態と同じです。

 -2 Dの近視眼は焦点距離が 0.5 mになります。この0.5 mはこの眼で最も遠く見える位置である遠点に相当します。正視の遠点は無限大ですが近視眼の場合は増えたディオプターの分だけ遠点が近づきます。

 次に-2Dの近視眼の近点について考えてみましょう。先に述べた通り正常な眼の近点は 25 cmでディオプトリは4 Dとなります。近視の眼は老眼になっていなければ水晶体の厚みを変えて屈折力を調節することができます。-2 Dの近視眼で4Dの屈折力の調整ができる場合、近点は0.17 mになります。

 つまり-2Dの近視眼は眼鏡をかけていない状態で遠点50 cmから近点17 cmのところまでが見えることになります。

 この-2 Dの近視眼が0.5 m以上先がよく見えないため眼鏡で矯正が必要となります。この近視眼の矯正には -2 Dの凹レンズを使います。この眼鏡をかけると正視の眼と同じ状態になりますから、遠点は無限遠、近点は25 cmになります。

 まとめると4 Dの調整ができる -2 Dの近視眼は裸眼の場合は17~50 cm、-2 Dの凹レンズの眼鏡をかけた場合は25~無限遠までピントを合わせることができます。ただし眼に負担をかけることなく長時間にわたって近くを見ることのできる距離は矯正した近点の倍ぐらいまでと言われています。

老眼の場合

 老眼は眼の屈折力の調整力が低下した状態です。近視でなければ遠いところは良く見えますが、水晶体を十分に厚くすることができないため近いところが見えにくくなります。つまり遠点はそのままで近点が遠ざかった状態が老眼です。近いところを見るためには凸レンズで眼の屈折力を補強する必要があります。

 2 Dの老眼の焦点距離は0.5 mになります。この0.5 mは近点に相当します。ですから2 Dの老眼では0.5 mより近いところにあるものはよく見えません。読書をするときに眼と本の距離は0.3 mぐらいが適しています。0.3 mにピントを合わせたときの眼の屈折力は約 3 Dになります。2Dの老眼の近点を0.3 mにするためには 3 D - 2 D = 1 Dの凸レンズが必要になります。

 老眼は水晶体を十分に厚くすることができないだけですから裸眼では遠いところは良く見えます。すなわち遠いところを見る分には裸眼でも正視と同じです。しかし老眼鏡をかけた場合には凸レンズのディオプターの分だけ遠点が近づくため遠くが見えづらくなります。

人気ブログランキングへ

明視域|図解 光学用語

明視域とは めいしいき、 clear vision region

 眼は遠くを見るときには水晶体を薄くし、近くを見るときには水晶体を厚くして眼の屈折力を調整してピントを合わせます。

 眼でピントを合わせることができる最も近い点を近点、最も遠い点を遠点といいます。近点と遠点の範囲を明視域といいます。近点は若い頃は約 10 cmですが加齢とともに長くなります。一方、正常な眼の遠点は無限遠にあります。

明視域と近点と遠点
明視域と近点と遠点

 眼は近点より近いところにピントを合わることができません。成人の正常な眼でものがよく見える範囲は、個人差はありますが眼から25 cm以上離れたところです。この25 cmを明視の距離といいます。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

人気ブログランキングへ