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2026年2月5日木曜日

白熱電球|図解 光学用語

白熱電球(はくねつでんきゅう、Incandescent light bulb)

白熱電球とは

 白熱電球は熱放射を利用し電気エネルギーをいったん熱エネルギーに変換してから光を得るタイプの電灯です。白熱電球の発明と言えば一般に米国の発明家トーマス・アルバ・エジソンという説が広まっていますが、世界で初めて電球を発明したのはイギリスの科学者ジョセフ・スワンです。スワンの電球はサイズが大きく寿命が短かかっため実用的ではありませんでした。

白熱電球の写真
白熱電球

白熱電球の構造と仕組み

 白熱電球の構造は次の図の通りです。電球内は一般にアルゴンと窒素を混合した不活性ガスが封印されています。フィラメントに電流を流すと白熱発光します。

白熱電球の構造を示した図
白熱電球の構造

 フィラメントは非常に高い温度になるため使用時間が経過するにつれて酸化・蒸発し、次第に細くなっていきます。長期間使用すると断線してしまいます。よく「電球が切れた」というのは、フィラメントが断線したことをいいます。

フィラメントの開発が白熱電球を実用的にした

 エジソンが日本の真竹から取り出した繊維を電球のフィラメントに利用したという話は有名です。エジソンが最初に使ったフィラメントは木綿糸を炭化させたものでした。この電球の寿命は45時間しかありませんでした。エジソンはフィラメントの寿命を長くできる材料がないかを捜しました。ある日、エジソンは扇子に使われていた竹をフィラメントとして使ってみました。すると電球が200時間も光り続けたのです。エジソンは世界中に人を派遣し、電球のフィラメントとして最適な竹を探しました。そして、およそ1200種類の竹の中から京都の八幡男山の真竹を選びました。真竹のフィラメントは径が細く電灯の点灯と消灯がたやすくなりました。また、電球の寿命は2450時間にもなりました。当時主流だったガス灯に匹敵する白熱電球を生み出すことができたのです。エジソンは実用的な電球を開発したのです。

フィラメントを長持ちさせる仕組み

 現在、フィラメントとして広く使われているのは金属のタングステンです。タングステンは融点が3382 ℃で高温度に耐えることができます。しかし、タングステン製のフィラメントも長時間使用しているうちに少しずつ酸化・蒸発していきます。この酸化・蒸発を抑えつつ、さらに高い温度をかけることができれば、より明るくて寿命の長い電球を作ることができます。そのために、最近の電球にはアルゴンや窒素などタングステンと化合しないガスが封入されています。フィラメントも改良が施され、より明るくて太陽の光色に近く、かつ寿命の長い電球ができるようになりました。

白熱電球の光のスペクトル

 白熱電球の発光スペクトルはフィラメントの熱放射による連続スペクトルです。次の図のように紫色から赤色までの波長の光を切れ目なく含んでいます。赤色系の光の強度が高く、暖かみのある黄色や赤色の光となります。エネルギーの大部分は赤外線として放出されます。 

白熱電球の発光スペクトルの図
白熱電球の発光スペクトル

 白熱電球はすべての可視光波長を含んでいますが、太陽光(D65)と比較すると青色成分が少ないのが特徴です。理想的な白色光の定義については「白色光|図解 光学用語」で詳しく解説しています。

白熱電球は発光効率が悪い

 白熱電球は構造が簡単な反面、光を得る効率は極めて低く電気エネルギーのほとんどが熱エネルギーとして失われてしまいます。それが証拠に点灯している電球はやけどするほど熱くなっています。

 白熱電球の発光スペクトルから分かる通り、可視光線より長い波長の赤外線を膨大に放出しています。光は波長が長いほど光子1個あたりのエネルギーは小さくなりますが、熱エネルギーは波長が長いほど大きくなります。具体的なエネルギー値の計算は光と色と本館「光のエネルギーの計算(公式の導出と波長・振動数・eVの変換)」を参照してください。

 白熱電球は発光効率が低いため地球温暖化防止の観点から使用されなくなりました。電球型蛍光灯やLED電球に積極的に置き換えられています。

 フィラメントを加熱して光を得る白熱電球に対し現在主流となっている白色LEDは、青色LEDと黄色蛍光体の補色の組み合わせで効率よく光を作り出しています。補色の仕組みについては補光と色と本館「光の三原色」と「色の三原色」の原理と仕組み|色が見える仕組み(7)」を参照してください。

よくある質問(FAQ)

Q:白熱電球のスペクトルの特徴は?

A:白熱電球は可視域全域にわたる連続スペクトルを持ち、波長が長くなる(赤色に近づく)ほど光のエネルギーが増大する右肩上がりの特性を持っています。これはフィラメントの熱放射によるもので、太陽光に比べて赤色成分が多く、青色成分が少ないのが特徴です。

Q:なぜ白熱電球は暖かい色がするのですか?

A:白熱電球の光は、フィラメントを高温に熱した際に発せられる熱放射を利用しています。スペクトル分布が長波長(赤側)に偏っているため、私たちの目には温かみのあるオレンジ色(電球色)として認識されます。

Q:白熱電球とLEDのスペクトルの違いは何ですか?

A:白熱電球が全波長をなだらかに含む「連続スペクトル」であるのに対し、一般的な白色LEDは青色LEDの鋭いピークと黄色蛍光体の広い山を組み合わせた「擬似白色」です。白熱電球の方が演色性に優れますが、赤外線(熱)としてのエネルギー放出が多いため発光効率は低くなります。

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