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2026年3月13日金曜日

3分で基本がわかる!「光の三原色」と「色の三原色」:色の正体と仕組み

最終更新日:2026年3月13日

💡 本記事は「導入編」です

こちら「光と色と」別館のページでは、光の三原色(RGB)と色の三原色(CMY)の本質的な基本概念をコンパクトに解説しています。

「光と色と」本館では、本内容をさらに深掘りし、「RGB・CMYの特徴比較一覧表」「表裏一体の補色関係」「実務におけるCMYKの補正の役割」などを1枚に凝縮した、より高解像度な最新のアップデート図解を公開しています。

⇒ より詳しい解説と最新の統合図解(完全版)を「光と色と」本館で見る

 私たちは溢れるほどの色の世界の中で生活していますが、色が見える仕組みはたった3色の組み合わせで説明できることを知っていますか?

光の三原色(RGB:加法混色)と色の三原色(CMY:減法混色)の比較解説図。ヒトの目の錐体細胞(LMS錐体)と脳が色を認識する仕組み、補色関係、加法混色と減法混色の違いを一枚にまとめた科学的解説インフォグラフィック
光の三原色(RGB)と色の三原色(CMY):色の正体と仕組みの完全図解

ヒトの色覚は3色で成り立っている

 ヒトの眼の網膜には色を感じる錐体細胞と呼ばれる光のセンサーが存在しています。錐体細胞には長波長の光(赤色系の光)を感じるL錐体(赤錐体)、中波長の光(緑色系の光)を感じるM錐体(緑錐体)、短波長(青色系の光)を感じるS錐体(青錐体)が存在します。

 脳はこの3つの錐体細胞が受けた刺激の割合から色を認識しています。私たちが見ている色は脳が作り出しているものです。ですから、私たちが生活している溢れるほどの色の世界というのは脳が作り出すバーチャルな世界なのです。

光の三原色(RGB) ー 均等に混ぜると白色光になる

 スマホの画面やテレビなど、自ら光を出すデバイスで色を表現するのに使われているのが光の三原色(RGB)です。光の三原色(RGB)は赤(Red)・緑(Green)・青(Blue)の3色です。

 色光を混ぜると光の成分が多くなるため明るくなり、すべてを均等に混ぜると白色(White)になります。これを加法混色と呼びます。

色の三原色(CMY) ー 均等に混ぜると黒くなる

 印刷物に使われるカラーインクや絵の具など、光を吸収する色材で色を表現するのに使われるのが色の三原色(CMY)です。色の三原色(CMY)はシアン(Cyan)・マゼンタ(Magenta)・イエロー(Yellow)の3色です。

 色材を混ぜ合わせると反射光の成分が少なくなるため暗くなり、すべてを均等に混ぜると黒(Black)に近づきます。これを減法混色と呼びます。

 実際に使われる色材では均等に混ぜても綺麗な黒を作り出すことはできません。そのため黒インクが使われます。この黒色はキープレート(Key plate)と呼ばれ K で表します。カラー印刷ではCMYにKを加えたCMYKのインクが使われます。

補色 ー 光の三原色と色の三原色の関係

 図の中央にある色鮮やかな円を見てください。赤とシアン、緑とマゼンタ、青とイエローのように反対側にある色同士は、混ぜ合わせるとお互いの色を打ち消し合う補色と呼ばれる関係にあります。光の三原色と色の三原色は補色の関係になっています。

 光の三原色と色の三原色は混色の仕組みは異なりますが、私たちの色覚の仕組みにより密接な関係があるのです。

 光の三原色と色の三原色の原理と仕組みについて詳しいことを学びたい方は、光と色と(本館)の次のページを参照してください。

冒頭の図は Google NotebookLM で作成したインフォグラッフィクに手を加えて完成させたものです。

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2026年3月2日月曜日

光の三原色の解説ページの生成AIのレビュー|Grok

 本館「光と色と」で公開している光と色の三原色の記事を生成AIにレビューしてもらいました。

 今回紹介するレビューはGrokによるものです。

 このブログ記事「「光の三原色」と「色の三原色」の原理と仕組み|色が見える仕組み(7)」(2012年4月公開、光と色とブログ)は、色彩学の最も根本的な概念である加法混色と減法混色を、初心者から中級者までが本当に理解できるレベルで丁寧に解説した、非常に優れた入門〜実用レベルの良記事です。

最も評価できるポイント

1.「光の三原色(RGB)」と「色の三原色(CMY)」の違いを、混ぜたときの明るさの変化という決定的な観点で明確に分離している。

 多くの解説では「光は足し算」「絵の具は引き算」とだけ言って終わることが多いのですが、この記事は「混ぜるほど明るくなるか暗くなるか」という一番直感的に分かりやすい違いを最初に強調し、そこからRGBとCMYKの用途(ディスプレイ vs 印刷)を自然に導いています。この切り口が秀逸です。

2.図と数式と実世界の対応が非常にバランスが良い

  • RGBの加法混色図(R+G=Y、G+B=C、R+B=M、R+G+B=W)
  • CMYの減法混色図(C+M=B、C+Y=G、M+Y=R、C+M+Y≈K)
  • それぞれに対応するカラーコード(#FF0000 など)
  • 吸収・反射スペクトルの模式図
  • CIE 1931のxy色度図や等色関数グラフ(負の値の説明含む)

 これらが過不足なく配置されており、「なんとなく分かった気」にならずに「本当に仕組みが分かった」と思える構成になっています。

3.誤解しやすい部分をしっかり潰している

  • 「なぜ三原色が赤・緑・青なのか」(ヒトの錐体細胞L/M/Sの感度ピークに由
  • 「RYB(赤・黄・青)はなぜ間違っていると言われるのか」の歴史的背景と限界
  • 「絵の具を混ぜても本当の黒にならない」理由と、だからCMYKでK(黒)を別途入れるのか
  • マゼンタがスペクトル上に存在しない「非スペクトル色」であること

 これらを丁寧に扱っており、色彩検定3級〜2級レベルを目指す人には特にありがたいです。

4.シミュレーターへのリンクや動画埋め込み

 当時(2012年)としては先進的で、現在でも参考になる加法・減法混色を自分で動かして確認できるツールへの導線が親切。視覚的に理解したい人にとって大きな価値があります。

総合評価(5点満点)

4.5 / 5.0

 色彩の入門書やウェブ解説の中でも、上位3%に入るレベルの良質なコンテンツです。特に「光と色の両方の三原色を対比しながら、ヒトの色覚という生理学的根拠までつなげて説明している」点で、単なる知識の羅列ではなく「なぜそうなるのか」を納得させてくれる稀有な記事だと思います。

色彩検定を受ける人、デザイナー・印刷関係者、ディスプレイ技術に興味がある人、理科の授業で色を教える先生には、今でも強くおすすめできる古典的名解説です。

もしこのシリーズの他の回(色が見える仕組み①〜⑥、⑧以降)も読んでいない場合は、ぜひ順番に読むことをおすすめします。このブログ全体が一つの体系的な教科書のように繋がっているのが素晴らしいところです。

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2026年3月1日日曜日

光の三原色の解説ページの生成AIのレビュー|Microsoft Copilot

 本館「光と色と」で公開している光と色の三原色の記事を生成AIにレビューしてもらいました。

 今回はMicrosoft Copilotに次の質問をしてみました。

「光の三原色」と「色の三原色」の原理と仕組み|色が見える仕組み(7) https://optica.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-ab6f.html を詳細にレビューしてください

Copilotの回答は次の通りです。

この記事は、「光の三原色(RGB)」と「色の三原色(CMY)」の原理を、視覚の仕組みと結びつけて丁寧に説明している技術系ブログ記事で、内容の正確さ・構成・理解しやすさの点でかなり質が高いものです。ここでは、記事の主張を整理しつつ、強み・弱み・補足すべき点まで含めて詳細にレビューします。

1. 記事の核心:光と色料の三原色は「仕組みがまったく違う」

記事の中心メッセージは次の一点に集約されます。

光の三原色(RGB)は「加法混色」、色の三原色(CMY)は「減法混色」であり、同じ“色”でも物理的な仕組みが根本的に異なる。

この記事はこの違いを、

  • 光の物理
  • 物体色の反射・吸収
  • 人間の視覚(錐体細胞)

の3つの観点から説明しており、構造的に非常にわかりやすいです。

2. 内容の正確性:専門的だが正確で、誤解を避ける構成

記事が扱う主なポイントは以下の通りです。

● 光の三原色(RGB)

  • 光は波長の組み合わせで色が決まる
  • 人間の網膜には L(赤)・M(緑)・S(青)錐体がある
  • それぞれの刺激量の組み合わせで色が知覚される
  • だから「赤+緑=黄色」などの加法混色が成立する

説明は視覚生理学に基づいており、専門的だが正確です。

● 色の三原色(CMY)

  • 物体は光を吸収し、残った光を反射する
  • シアンは赤を吸収、マゼンタは緑を吸収、イエローは青を吸収
  • 3つを重ねるほど吸収が増え、黒に近づく
  • これは「減法混色」

ここも物理的に正しい説明で、印刷や絵の具の仕組みを理解するのに最適です。

● RGB と CMY の関係

  • CMY は RGB の補色
  • RGB の光を全部混ぜると白
  • CMY の色料を全部混ぜると黒(理想的には)

この関係性を図示しながら説明しており、色空間の理解が深まる構成です。

3. 記事の強み:視覚の仕組みまで踏み込んでいる

この記事の最大の強みは、単なる「三原色の説明」にとどまらず、

● 人間の視覚の仕組み(錐体細胞の分光感度)

● 物体色の反射スペクトル

● 光と色料の物理的な違い

まで踏み込んでいる点です。

多くの解説記事は

「RGB は光、CMY は絵の具」

という表面的な説明で終わりますが、この記事は

なぜそうなるのか?  

人間の目はどう色を感じているのか?

まで扱っており、理解の深さが段違いです。

全体評価:専門性とわかりやすさのバランスが非常に良い

総合すると、この記事は

  • 科学的に正確
  • 視覚生理学まで踏み込んでいる
  • 図解が多く理解しやすい
  • 誤解されやすい三原色の違いを丁寧に説明している

という点で、一般向けの解説として非常に優れています。

色彩学の入門としても、ディスプレイ技術や印刷技術の基礎としても、十分に推奨できる内容です。

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2026年2月28日土曜日

光の三原色の解説ページの生成AIのレビュー|Goolge Geminin

 本館「光と色と」で公開している光と色の三原色の記事を生成AIにレビューしてもらいました。

 今回紹介するレビューはシークレットモードでGoogle Geminiに次の質問をしてみました。

「光の三原色」と「色の三原色」の原理と仕組み|色が見える仕組み(7) https://optica.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-ab6f.html を詳細にレビューしてください

Geminiの回答は次の通りです。

ご提示いただいた記事「光の三原色と色の三原色の原理と仕組み」は、色彩工学や光学の基礎を学ぶ上で非常に重要な**「加法混色」と「減法混色」**の違いを、初心者にも分かりやすく解説した良質なエントリーです。

この記事の内容を、光学的な視点と実用的な視点から詳細にレビューします。

1. 記事の構成と要約

 この記事は、私たちが普段目にしている「色」がどのように作られているかを、2つの異なる仕組みに分けて説明しています。

 光の三原色(加法混色): RGB(赤・緑・青)を混ぜることで白に近づく仕組み。テレビやスマホの画面がこれに当たります。

 色の三原色(減法混色): CMY(シアン・マゼンタ・イエロー)を混ぜることで黒に近づく仕組み。印刷物や絵の具がこれに当たります。

2. 詳細レビュー:ここがポイント!

① 加法混色(RGB)のロジック

 記事では、光が重なるほど明るくなり、最終的に白になるプロセスを解説しています。

 メカニズム: 人間の目の網膜にある3種類の錐体細胞(赤・緑・青に反応する)を直接刺激するため、エネルギーが足し算(加法)されていきます。

 評価:「光を足すと明るくなる」という直感的な説明がなされており、ディスプレイ技術の基本を理解するのに適しています。

② 減法混色(CMY)のロジック

 色の三原色がなぜ「赤・青・黄」ではなく「シアン・マゼンタ・イエロー」なのかという点に触れているのが高評価です。

 メカニズム: 物体表面で特定の光が吸収(引き算)され、残った反射光が目に入る仕組みです。

 補足: 記事でも触れられていますが、理論上のCMYを混ぜても真っ黒にはなりにくいため、実際の印刷では**K(Key plate = 黒)**を加えた CMYK が使われます。

③ 両者の補色関係

 この記事の最も優れた点は、RGBとCMYがバラバラの概念ではなく、互いに補色(反対の色)の関係にあることを示唆している点です。

 例えば、シアン(C)は赤(R)を吸収し、マゼンタ(M)は緑(G)を吸収します。

3. 専門的な視点からの評価

項目 評価 理由
正確性 高い 光学的な定義に基づいた正確な記述です。
分かりやすさ 非常に高い 図解(イメージ)を想起させる文章構成で、専門用語が少なめです。
網羅性 標準的 基礎に特化しているため、Lab色空間などの応用的な話は含まれません。

4. 総評とさらなる理解のために

この記事は、デザインや写真、あるいは照明に興味がある方が**「色の正体」を論理的に理解するための第一歩**として、非常に信頼できるリソースです。

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2026年1月30日金曜日

光の三原色で作れない色とは?RGBによる色の再現の限界

最終更新日:2026年2月31日

目次|光の三原色で作れない色

光の三原色で全ての色を再現できるのか

 ディスプレイ技術が飛躍的に発展し、私たちが目にする映像はかつてないほど鮮明になりました。高解像度の4Kや8Kのディスプレイに表示されている映像を見ていると、私たちは「ディスプレイを通じてあらゆる色を見ることができている」と思いがちです。

高解像度ディスプレイに映し出された真夏のヒマワリ畑。この鮮やかな景色も光の三原色(RGB)が作り出した色の世界に過ぎない。
高解像度ディスプレイに映し出された真夏のヒマワリ畑。
この鮮やかな景色も光の三原色(RGB)が作り出した色の世界に過ぎない。

 しかし、映像がどんなに鮮明になっても、光の三原色RGB)で作られた色は後述する再現できない色の領域(色域ガマット)が存在します。実際、ディスプレイに映し出された美しい景色を見て、どこか「自然の中で直接見ている景色の色とは少し違う」と感じたことはありませんか? この違和感こそが光の三原色(RGB)による色彩の再現の限界なのです。

なぜ作れない色が存在するのか?

 私たちが日常で認識している色とは光源が発する光や物体が反射する光の色です。そして、色の基準となるのは私たちの世界を照らしている太陽光です。 すべての色を再現できるということは、太陽光に含まれる光や物体が反射する光の色の色調をありのまま再現できるということを意味します。

 しかし、現代のディスプレイは太陽光に含まれるすべての可視光線から作られる色を映し出す仕組みではありません。バックライトが発する白色光からカラーフィルタを使って取り出した赤(R)・緑(G)・青(B)の光や、あるいは赤(R)・緑(G)・青(B)3つの独立した光源の光で色を合成しています。色を作成する光が限られているためディスプレイの色の再現には限界があるのです。

太陽光に含まれる可視光線と光の三原色(RGB)の色の比較
太陽光に含まれる可視光線と光の三原色(RGB)の色の比較

なぜ3色(RGB)の光で色を再現できるのか?

 そもそも3色の光で私たちが見ている多くの色を再現できるのでしょうか。その理由は私たちヒトの色覚に関係しています。眼の網膜には光のエネルギーの刺激を受けて反応する桿体細胞と錐体細胞と呼ばれる視細胞が存在します。桿体細胞は暗い場所で光の強弱を感じ、錐体細胞は光のエネルギーの大きさの違いを捉えて色を識別します。錐体細胞は動物によって異なりますが、ヒトの網膜には長波長の光に反応するL錐体(赤色錐体)、中波長の光に反応するM錐体(緑色錐体)、短波長の光に反応するS錐体(青色錐体)の3種類の錐体細胞が存在します。

ヒトの眼球の断面図と、網膜の視細胞を拡大したイラスト。光が視神経側から入り、黄斑部に集中する錐体細胞と、網膜全体に広がる桿体細胞に届く仕組みをカラーで解説している図解
ヒトの眼の構造と視細胞(錐体細胞・桿体細胞)

 光は波長が短いほど高エネルギーで波長が長いほど低エネルギーです。それぞれの錐体細胞が受けた刺激の割合は視神経を通じて脳に送られます。脳は3種類の錐体細胞の刺激の割合から色を認識します。つまりヒトの色覚は目に入ってきた光の物理量であるエネルギーを生理現象で生じる色に変換しているのです。

左側にバナナ(物体)、中央にヒトの眼の構造図、右側に脳のイラストを配置した図解。物体からの光が眼に入り、視神経を通って脳に伝わり、色や形として認識されるまでの一連の流れを説明している
視覚と色彩認識のプロセス

 私たちはあらゆる光の色を3種類の錐体細胞の刺激の割合で認識しています。ですから、虹の中に存在する単色光の黄色、光の三原色の赤色と緑色を混色してできる黄色、物体からの反射光の黄色を同じプロセスで認識します。つまり3種類の錐体細胞を刺激の割合が同じであれば光の成分が異なっていてもほぼ同じ色と認識することができるのです。

 このヒトの色覚の仕組みを巧みに応用して光の三原色(RGB)で色を再現しているのがディスプレイです。この巧みな応用こそが同時に色の再現の限界を生じる原因にもなっているのです。なぜなら、光の三原色(RGB)での色再現は、ある意味で脳を騙しているようなものだからです。例えば、太陽の下で見るバナナの黄色と、画面に映し出されたバナナの黄色はほぼ同じ黄色に見えても、目に入ってくる光は別物です。実際に同じように見える色でも光の成分が異れば、錐体細胞の刺激の割合も厳密には異なるのです。

光の三原色(RGB)が抱える色再現の限界

 赤(R)と緑(G)の光を同じ強さで混ぜると、その中間の黄色(Y)が生じます。このとき赤(R)を強く、緑(G)を弱くするとオレンジ色が生じます。2色による混色で混ぜて作ることができる色は必ず元となる2つの色を結んだ直線の上にしか現れません。なぜなら、そこには他の色は成分として含まれないからです。

 赤(R)と緑(G)に青(B)の光を加えてみましょう。すると3色の混色で生じる色は赤(R)と緑(G)の直線、赤(R)と青(B)を結んだ直線、緑(G)と青(B)を結んだ直線に囲まれた面、すんわち三角形の領域になります。これが光の三原色(RGB)で再現できる色域(ガマット)です。ディスプレイが表現できる色の世界はこの3点を頂点とした三角形の内側に固定されてしまうのです。

 言葉だけでは実感が湧きにくいかもしれません。実際に3つの光の出力を操作して、色がどのように三角形の領域で作られていくのか以下のシミュレーターで体験してみてください。2つの色光だけで作れる色は常にその直線上の中間にあり、3つ目の色光が加わって初めて色が面として広がることが体感できると思います。

私たちが認識できる色域(ガマット)は?

 私たちが認識できるすべての色は一体どのような形の色域(ガマット)をしているのでしょうか。それを科学的に定義したものが国際照明委員会(CIE)が1931年に「可視光とヒトの色覚における色との定量的関係」を規格化したCIE 1931 色空間です。

 CIEは次の図のような実験装置を用いてヒトが認識しているすべての色を光の三原色(RGB)で再現する規格「CIE RGB 色空間」を作成しました。

CIE 1931色空間の規格化のために行われた等色実験の模式図。試験光と光の三原色(RGB)で作成した色をスクリーンに投影し、ヒトが同じ色に見えるかどうか確認している様子が描かれている。
CIE 1931 等色実験の装置の模式図

 この等色実験により光三原色(RGB)の加法混色で色を作成すると彩度が高い光は再現できないことがわかりました。たとえば単色光のシアンの色は光の三原色の緑(G)と青(B)の混色では再現できなかったのです。単色光のシアンの光に赤(R)を加えると、緑(G)と青(B)で作ったシアンの光と同じ色になりました。

 ヒトの3種類の錐体細胞はそれぞれの反応する範囲が大きく重なり合っています。たとえば単色光のシアンの光と三原色(RGB)の緑(G)と青(B)の混色で作成したシアンの光では錐体細胞の反応が異なります。そのため単色光のシアンを光の三原色(RGB)では厳密に再現できないことがわかったのです。

 そこでCIEはRGB 色空間をもとに計算によってヒトが認識できるすべての色を表したCIE XYZ色空間の規格を作りました。この色空間は等色から理論的に導かれたものであり、光の三原色(RGB)で色を再現する実在のディスプレイ装置などには依存しません。

CIE 1931 xy 色度図。ヒトの目が見分けられる色の範囲(色域)を2次元のxy座標上にプロットした馬蹄形のグラフ。外縁の曲線は純粋な単色光の波長を示し、中心の白色点に向かって色が淡くなる様子が描かれている。
CIE 1931 xy 色度図

 CIE 1931 xy 色度図は、ヒトの色覚で認識できる色域(ガマット)を2次元のxy座標上にプロットした馬蹄形のグラフです。外縁の曲線は純粋な単色光の波長を示します。下部には波長表示がありませんが、この部分はヒトが認識できる色のうちマゼンタなど単色光に存在しない混色で生じる色光です。グラフの中心に向かうほど色が淡くなります。中心は白色点と呼ばれ、太陽光に近い白色光に相当する位置になります。

 CIEは1931年に光の3原色を赤色光700 nm、緑色光546.1 nm、青色光435.8 nmの単色光としました。これらの波長は英国のJohn GuildとWilliam David Wrightがそれぞれ別途に実施した等色実験の結果が採用されています。当時はLED(発光ダイオード)などありませんでしたから、実験に使いやすい光の波長が選ばれました。緑色光546.1 nm、青色光435.8 nmの光は水銀ランプの輝線です。赤色光はタングステンランプの白色光を分光器で分散させて得られた650 nmの光が使われましたが最終的にはより長波長の700 nmの光が採用されました。

 前述の通り実際の光の三原色(RGB)の混色で作ることができる色域(ガマット)はCIE 1931 xy 色度図に一致しません。次の図は上述のCIEが定めた光の三原色で再現できる色域を示したものです。RGBの三角形の範囲が、この光源で再現できる色域です。これより外側の色はこの光源では再現できません。

CIEが1931年に定めた光の三原色(RGB)の波長による色域(ガマット)。xy色度図上の再現範囲。
CIEが1931年に定めた光の三原色(RGB)の波長による色域(ガマット)

 CIEが定めた光の三原色(700nm、546.1nm、435.8nm)形の頂点は色度図の最も彩度の高い馬蹄形の曲線上に置かれています。この三角形の内側がCIE 1931で定められた光の三原色で表すことができる理論上の色域です。しかし、この純粋な単色光を実現するためには発光効率の高い光源が必要であり、現状ではこの光の三原色の光源は存在しません。

 光の三原色の波長が決まった経緯については、本館「光と色と」の次のページを参照してください。

 次の図はCIE 1931 xy 色度図私たちが日常的に使っているディスプレイの規格の色域を重ねたものです。 図中の小さな三角形が一般的なディスプレイで使われている標準規格 sRGB の色域(ガマット)です。そして、それより一回り大きいのが印刷やプロ向けの規格 Adobe RGB の色域(ガマット)です。いずれの三角形もヒトの色覚の限界である馬蹄形の外縁には届かず、特に緑から青にかけての領域が大きく欠けていることがわかります。

CIE 1931 xy 色度図の上に、sRGB(内側の小さな三角形)と Adobe RGB(外側の一回り大きな三角形)の範囲を重ねた図。いずれの三角形も馬蹄形の外縁(ヒトの色覚の限界)には届かず、特に緑から青にかけての領域が大きく欠けていることを示している
色域(ガマット)の比較:sRGB と Adobe RGB

 この図からわかる通り最高級のディスプレイを使ったとしても、RGBの三角形内部の色域(ガマット)に存在する色しか再現できないのです。とりわけ馬蹄形の外縁の鮮やかな緑やシアンやマゼンタは再現できません。そのため、たとえば綺麗なエメラルドグリーンの海の映像を見ても、どこか本物の色と違う、鮮やかさが物足りないと感じるのです。

光の三原色(RGB)で作れない色とは?

 光の三原色(RGB)による色覚の再現は極めて合理的で効率的ですが、自然界が持つ無限の色の多くを切り捨ててしまっているのです。どんなに技術が進歩しても、光の三原色(RGB)で色を再現する限り、この馬蹄形の豊かなカーブの外縁の色を見ることはできません。ですから、この三角形の織に閉じ込められている光の三原色(RGB)の色域では自然界に存在するすべての色を再現することはできないのです。具体的に光の三原色で作れない・表現が困難な色は以下の通りです。

  • 高彩度の色:自然界に存在する鮮やかな色
  • 完璧な黒色:光の三原色(RGB)は混ぜると白(白色光)に近づく加法混色のため、混色で黒を表現することはできません。光を消灯すると黒になります。
  • 光の三原色(RGB):赤(R)、緑(G)、青(B)は原色ですから混合で作ることはできません。

 私たちが眺めているディスプレイの色は、自然界の広大な色域(ガマット)に比較すると、ほんの一部を切り取った三角形の檻の中に過ぎません。クリエイターたちは、この限られた色域の中で、いかに本物の色を再現させるかという試行錯誤を繰り返してきました。彩度が足りなければコントラストで補い、特定の色が作れなければ隣接する色と調和させるなどの工夫をしています。

光の三原色(RGB)の制限は超えられるのか?

 この光の三原色(RGB)の三角形の檻の中から抜け出す方法はあるのでしょうか? 私たちは自然界の広大な色彩を再現することはできないのでしょうか。実はこの不可能性への挑戦こそが現在のディスプレイ技術の最先端となっているのです。

 第一の方法は光源の多原色化です。光の三原色(RGB)では三角形の檻しか作れませんが、原色の数を増やすことで、その形を四角形、五角形へと広げることができます。その結果、CIE xy 色度図の馬蹄形の外縁に近づけることができます。次の図はCIE 1931 xy色度図上で従来のsRGB(三角形)に黄色(Y)を追加し、色域が四角形に広がった様子を示した図です。特に緑から赤にかけての再現範囲が拡大していることがわかります。わずかな面積の広がりですが、冒頭のひまわりを本物に近い色で表現できるようになります。

CIE 1931 xy色度図上で、従来のsRGB(三角形)に黄色(Y)の頂点を追加し、色域が四角形に広がった様子を示す図。特に緑から赤にかけての再現範囲が拡大している。
4原色(RGBY)による色域の拡張の例

 実際に、かつてシャープが黄色(Y)を加えたRGBYの4原色で色を再現できるディスプレイ AQUOS クアトロン を開発し販売していました。残念ながら主流とはならなかったため販売は終了していますが、当時としては色域(ガマット)を広げる画期的な試みでした。最近では商業施設や映画館などで6原色以上の光源を用いることで、より実物に近い色彩を再現する多原色プロジェクターが開発されています。

 第二の方法は、3原色の数は変えずに3点の位置を馬蹄形の外縁に押し広げる手法です。つまり最新の光源を利用して原色の純度を向上することです。現在の超高精細放送(4K/8K)のBT.2020規格では最新の光源を用いて xy 色度図の75.8%まで色域(ガマット)を広げています。最新の光源には次の3種類が存在します。

  • RGBレーザー: 光の純度が極めて高く、非常に鋭いピークの単色光を得られるため、BT.2020の色域をほぼ100%カバー可能です。まさに究極の光の三原色(RGB)の光源です。
  • 量子ドット (Quantum Dot): 青色LEDの光を特定の波長だけを強く発光させる特殊な結晶に当てることで高純度なRGBを発光させます。現在の高画質ディスプレイの主流となりつつある技術です。
  • 有機EL (OLED): 素子自体が発光するため鮮やかな発色が可能です。しかし、BT.2020企画を満足させるためにはさらなる新材料の開発が必要です。

真実の色をめざして:理論と想像力が作る色彩文化

 どれほど技術が進化してもCIE xy 色度図の色域を完全にカバーすることは困難です。しかしながら、最終的に色を認識しているのは脳です。私たちの脳には不完全な情報を補完する能力が備わっています。ですから物理的な条件が揃わなくても、たとえば画面上に鮮やかなシアンの単色光が存在しなくても、光のハイライトやコントラストを工夫することによって鮮やかなシアンを脳に認識させることができます。そういう意味では現実に忠実であること以上に、人間の記憶に存在する理想の色を呼び覚ますことこそがリアリティの追求と言えるかもしれません。

左側には数学的な数式と色度図のグラフが描かれ、右側に向かってそれらが鮮やかな光の粒子と絵画的な色彩の爆発へと溶け込んでいくイメージ画像。デジタル技術の理論と人間の想像力の融合を表現している。
真実の色をめざして:理論と想像力が作る色彩の世界

 映画、写真、絵画、アニメなどの色彩は決して自然界の単なるコピーではありません。そこには三角形の檻の限られた領域の中でいかに心を動かす色を再現するかというクリエーターの強い意志が介在しています。完璧な再現ができないからこそ生まれるのが表現のゆらぎです。その隙間を私たちの想像力が埋めることで色彩の文化が成り立っているのです。

1964年、パリのガルニエ宮=オペラ座にマルク・シャガールが描いた新しい天井画が設置されました。14人の作曲家によるオペラの場面が描かれています
シャガールの天井画(マルク・シャガール、1964年、パリのガルニエ宮=オペラ座)
Author:Ninara from Helsinki, Finland

よくある質問(FAQ)

Q:RGBの三原色ですべての色を再現できないのはなぜですか?

A:ヒトの3種類の錐体細胞はそれぞれの反応する範囲が大きく重なり合っています。たとえば単色光のシアンの光と三原色(RGB)の緑(G)と青(B)の混色で作成したシアンの光では錐体細胞の反応が異なります。そのため単色光のシアンを光の三原色(RGB)では厳密に再現できないのです。

Q:RGBの制限を克服する技術にはどのようなものがありますか?

A:レーザー光源や量子ドットを用いて色の純度を高め再現範囲を広げる技術や、RGBに他の原色を加えた多原色表示などがあります。

Q:物理的に再現できない色を、人間はどのように認識していますか?

A:物理的にディスプレイで再現できない色であっても人間の脳は周囲のコントラストや光のハイライトなどの情報を利用して記憶にある理想の色を補完して認識する能力を持っています。

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本館「光と色と」ではこの記事のベースとなった色彩の基礎知識を多数公開しています。 光と三原色の基本については次の記事を参照してください。

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