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2022年1月6日木曜日

収差|図解 光学用語

収差とは(しゅうさ、optical aberration)

 凸レンズの光の進み方について、「レンズの光軸に平行に入る光は焦点に集まる」「物体の1点からでた光はレンズを通ったあと1点に集まり像をつくる」という約束があります。しかしながら、普通のレンズではこの基本的な約束が厳密には成り立たず光は1点に収束しません。この現象を収差といいます。

 レンズを通る光はレンズの表面のあらゆる位置でスネルの法則に従って屈折します。ところが普通のレンズの表面の形状は光軸に平行な光が焦点に集まるように設計されているわけではありません。

 たとえば球面レンズはレンズの表面が加工しやすいから球面にしているだけです。球面レンズは光軸に近い平行な光は焦点に集まりますが、光軸から離れたところの平行光は焦点とずれた位置に集まります。実際にその光の道筋をスネルの法則で計算すると、レンズの中心部と周辺部を通る光で焦点の位置がずれることがわかります。焦点の位置がずれるということは、光が1点に集まらず広がるということですから像がぼやけることになります。これを球面収差といいます。

 スネルの法則に従って厳密に光が1点に集まるようにレンズの表面を加工した非球面レンズには球面収差がありません。しかし、収差にはいろいろな種類があり、非球面レンズといえどもすべての収差を解決することはできません。たとえば、屈折率は光の波長によって異なるため、ある特定の波長の光でレンズの表面を設計しても、別の波長では光の道筋が異なります。この場合、光の波長によって焦点位置や像ができる位置がずれて像に色がついたり色がにじんだりする色収差が生じます。

 そのほか、収差には像が尾を引くコマ収差、像が歪んで物体と同じ形にならない歪曲収差、像ができる面が平面ではない像面湾曲、光軸から離れると像が歪む歪曲収差があります。色収差をのぞく収差は単色光で生じる収差で単色収差またはザイデルの5収差といいます。

収差単色収差球面収差光軸上で光が1点に集まらない
コマ収差光軸から離れたところで点像が尾を引く
非点収差縦方向と横方向で像のできる位置がずれる
像面湾曲像ができる面が平面ではなく歪曲している
歪曲収差光軸から離れると像が歪む
色収差軸上色収差光の波長によって結像位置が異なる
倍率色収差光の波長によって像の大きさが異なる
収差の分類

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