単色光とは たんしょくこう、monochromatic radiation
単色光とは単一の振動数の光、または単一の波長の光注1のことです。単色放射ともいいます。
例えば、430 nmの光は青色の単色光、550 nmの光は緑色の単色光、650 nmの光は赤色の単色光です。また、緑色の単色光と赤色の単色光を混色すると、黄色光が得られますが、この黄色光は2つ波長の光から成るので単色光ではありません。590 nmの光は黄色の単色光です。単色光をプリズムに通しても分散しません。
単色光は、たとえば太陽光をプリズムで分散させ、ひとつの色の光を取り出すことによって得ることができます。世界で初めて実験で太陽光から単色光を取り出したのは、アイザック・ニュートンです。ニュートンは1666年に次の図のように2つのプリズムとスリットを使って単色光を調べる実験を行いました。一つ目のプリズムとスリットで単色光を取り出し、その単色光を二つ目のプリズムに通しても分散しないことを確認しました。
単色光と言っても、実際にはある程度の波長幅をもつ光のため、完全な単色光は実在しません。ニュートンが行ったようなプリズムの分散では、スリット幅や実験の精密さの影響を受けやすいので、取り出すことができる単色光はあくまでも近似的なものです。
しかし、原子から出てくる線スペクトルは単色光とみなすことができます。LEDやレーザーできてからは、ほとんど完全な単色光が得られるようになりました。
また、私たちが見ている全ての色に対応する単色光が存在するわけではありません。たとえばピンク色(マゼンタ)に相当する波長の光は存在しません。
- 注1 単一の波長の光の「波長」には「真空中(または空気中)の波長」という意味が暗黙の了解として含まれています。詳細は「光と色と本館」の「光の色は波長で決まる?」を参照してください。
- JIS Z8120 単一波長の光又は一つの波長の光で代表される程度に狭い波長範囲に含まれる光。
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