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2021年9月30日木曜日

ジャミラのロケットの光学迷彩|ウルトラマン第23話「故郷は地球」

 ウルトラマン第23話「故郷は地球」は有名なジャミラの話です。

 ジャミラは宇宙開発競争で某国が打ち上げた宇宙船に搭乗していた地球人の宇宙飛行士の名前です。ジャミラは事故によって水のない惑星にたどり着き、某国の救助を待っていました。しかしながら、某国は国際的な問題になることを恐れて事故を隠蔽しジャミラを見捨てたのです。

 ジャミラは一命をとりとめはしましたが、水のない惑星の環境に適応し、水を不要とするひからびた粘土質の身体となりました。ジャミラは某国に復讐するため宇宙船を改造し地球にやってきました。その宇宙船は姿を消す機能を有していたのです。

 地球に到着したジャミラは姿を隠した宇宙船で要人を乗せた旅客機を次々と撃墜します。科学特捜隊が出動しますが見えないロケットからの攻撃を受けます。イデ隊員とフジ隊員がジェットビートルの電波探知機で位置を確認、飛行機雲を吐きながら飛ぶ見えないロケットを発見します。飛行機雲を頼りにレーザーで攻撃しますが、ロケットを見失ってします。

 ジャミラのロケットはどうして姿を隠すことができるのでしょうか。科学特捜隊本部でムラマツキャップが2つの実験をしながら推測します。

 ムラマツキャップは自転車を持ち出して後輪を勢いよく回し始めます。そして車輪が止まっているときはスポーク(金属の矢)が見えるが、高速で回転するとスポークが見えなくなり見通せるようになると説明します。高速で移動するものは見えなくなる。この説明を聞いたイデ隊員は見えないロケットはものすごい力で振動していると答えます。これが1つ目の推測です。

ムラマツキャップの実験①高速で車輪を回転すると見通せるようになる
ムラマツキャップの実験①
高速で車輪を回転すると見通せるようになる

 次のムラマツキャップは色を塗り分けた円盤を回し始めます。円盤が止まっているときには色が見えますが、高速で回転させると全ての色が消えて灰色一色になり色が見えなくなると説明しています。これが2つ目の推測です。

ムラマツキャップの実験②色分けした円盤を高速で回転すると色が失われる
ムラマツキャップの実験②
色分けした円盤を高速で回転すると色が失われる

 この色分けした円盤の実験を最初に行ったのはアイザック・ニュートンです。ニュートンは虹の7色で色分けされた円盤を高速で回転させると光が混ざって白色になることを発見しました。この円盤はニュートンの円盤と呼ばれています。

 ムラマツキャップは「灰色一色になる」と説明していますが、この実験は反射光の経時加法混色ですから「白色一色になる」が正解です。

 こうして2つの推測が出ましたがイデ隊員は見えないロケットの秘密をその場では解き明かすことができず、徹夜で研究に没頭します。そしてスペクトルアルファ線、スペクトルベータ線、スペクトルガンマ線の3つのレーザー光線を開発します。

 イデ委員の説明によると、スペクトルアルファ線は光の屈折を自由に変えることができるもの、スペクトルベータ線は光の色彩吸収力を破壊するもの、スペクトルガンマ線は光の反射角度にある制限を加えるものです。

 この3つのスペクトル光線を重ね合わせて照射することで、ついに見えないロケットが姿を現しました。イデ隊員が説明した3つのスペクトル光線の働きを考えると、どれも物体を見えなくするような効果のように思えますが、見えない物体に照射するとロケットを見えなくしている3つの効果のバランスが崩れて物体の姿が見えるようになるということでしょうか。

 科学特捜隊が攻撃を開始しロケットを撃墜すると、ジャミラが現れます。ジャミラはウルトラマンのウルトラ水流で倒されます。

 ジャミラの話は題名の「故郷は地球」の通り不幸な宇宙飛行士の悲しい話でしが、このお話の中に上述のような光学の話があったのです。

継時加法混色についてはこちら

ウルトラ水流の話はこちら


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