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2020年9月18日金曜日

仮面の忍者 赤影|赤青白黒紅|光と色のヒーロー列伝⑤

 光あるところに色がある。まこと艶やかな色に数知れぬ波長の光があった。

 たくさんのヒーローがいますが、光や色に関係するヒーローは少なくありません。このシリーズは光と色に関係するヒーローを取り上げていきます。

 第5回は色のヒーロー「仮面の忍者 赤影」の登場です。

赤い仮面は謎の人 赤影参上

 赤影は横山光輝さんの漫画・テレビ番組・アニメ・映画「仮面の忍者 赤影」に登場する主人公の仮面のヒーローです。

仮面の忍者赤影 第01話[公式]

 東映が1966年に横山光輝さんに忍者を主人公として特撮テレビの原作を依頼し、横山光輝さんが少年サンデーで「飛騨の忍者 赤影」の連載を開始しました。この原作を元に東映と関西テレビがテレビドラマ「仮面の忍者 赤影」を制作し、1967年に放映が開始されました。テレビドラマには原作には出てこない怪獣や円盤なども登場しますが、後に原作のタイトルも「仮面の忍者 赤影」に改められました。

 

 当時、特撮でカラー番組だったのは「マグマ大使」と「ウルトラマン」のみで、時代劇ではカラー番組はありませんでした。「仮面の忍者 赤影」は3番目の特撮カラー番組として、そして初めての時代劇カラー番組として制作されました。その背景にはスポンサーの三洋電機のカラーテレビの販売促進という戦略があったようです。

 カラーテレビの販売促進ですから、登場するヒーローもカラー、つまり色をテーマとした番組にもなりました。そして、原作者の横山光輝さんが考えたのが赤影・青影・白影の3人の色のヒーローの集団でした。色のヒーローの集団というと、石ノ森章太郎「秘密戦隊ゴレンジャー」を思い出しますが、そのルーツは「仮面の忍者 赤影」にあったのです。

豊臣秀吉がまだ木下藤吉郎だった頃

 第一部は「豊臣秀吉がまだ木下藤吉郎だった頃、琵琶湖の南に金目教という怪しい宗教が流行っていた。 それを信じない者は恐ろしい祟りに見舞われるという。その正体は何か? 藤吉郎は金目教の秘密を探るため、飛騨の国から仮面の忍者を呼んだ。その名は…赤影参上!」というナレーションで始まります。

 子どもの頃はあまり時代については何も考えないで見ていましたが、第一部は元亀2年(1571年)です。1571年というと織田信長は伊勢の永島一向一揆や浅井・朝倉連合軍や六角氏と敵対しており、織田信長包囲網と言われる時代です。比叡山焼討ちがあったのもこの年です。

 金目教は甲賀流忍者である祈祷師・甲賀幻妖斎が率いる謎の宗教ですが、その背後には六角氏がいました。金目教は霞谷七人衆という甲賀忍者の集団が暗躍しますが、歌舞伎のような派手な出で立ちをしています。

 赤影・青影・白影は飛騨の影一族という忍者集団から派遣された忍者で、織田家の家臣の秀吉に使えた忍者ということです。また、「木下藤吉郎秀吉」という署名の入った1565年の書状が残っています。豊臣秀吉がまだ木下秀吉だった頃だったのではないかと思います。元亀3年(1572年)には羽柴秀吉と改名しています。

 第二部は「織田信長の活躍した頃、海を渡ってきた奇怪な妖術者の群れがギヤマンの鐘を求めて各地を襲撃した。世界制覇を狙うまんじ党の仕業である。強烈なエネルギーの製法を秘めたギヤマンの鐘3つ。日本の平和を願う信長は、まんじ党の野望を粉砕すべく飛騨の国から仮面の忍者を呼んだ。その名は…赤影参上!」というナレーションで始まります。

 まんじ党は死んだはずの甲賀幻妖斎が結成した結社です。南蛮人のペドロが発明した「デウスの鐘」「サタンの鐘」「マリアの鐘」の鐘3つを手に入れるため、甲賀忍者の「うつぼ忍群」に属するまんじ党七人衆が暗躍します。まんじ党七人衆は、それぞれ赤・青・白・茶・黄・緑・白黒縞の服をまとっており、色の悪党集団となっています。

 第三部は「悪大将、夕里弾正の反乱を知った織田信長は居城清州から小人数を率いて京の都へ急いだ。しかし、その道筋には、弾正に味方する根来の忍者が、恐ろしい怪獣を操って待ち構えている。道中の無事を願う織田信長は飛騨の国から仮面の忍者を呼んだ。その名は…赤影参上!」というナレーションで始まります。

 史実では根来衆は織田信長には好意的でした。天正5年(1577年)の信長による紀州攻めに加勢していますし、天正9年(1581年)の京都御馬揃えにも参列しています。良好な関係だったと考えられます。伊賀勢であれば信長に敵対もわかるのですが、伊賀忍者を悪者にしたくなかったのかもしれません。信長の死後は、根来衆は秀吉と敵対しました。

 赤影では根来十三忍が敵として登場します。第三部からは怪獣がたくさん登場するようになり、敵の忍者の集団の出で立ちはごく普通の忍者風になりました。

 第四部は「飛騨の国、影一族に伝わる黄金の仮面は、あらゆる忍者にとって憧れの的、栄光のシンボルであった。そしてまた、仮面には、莫大な黄金の謎が秘められているのだ。この仮面を奪い、忍者の王座を狙う者が現れた。怪忍獣を使う魔風雷丸である。立て仮面の忍者…赤影参上!」というナレーションで始まります。

 魔風雷丸が率いる忍者集団の風磨忍群が影一族の黄金の仮面を奪います。風磨忍群と赤影たちとの間で、黄金の仮面の争奪戦が繰り広げられます。

 赤影は時代劇ではありますが、この時代にはありえない機械仕掛けのものがたくさん出てきます。東映は同時期にウルトラマンの後番組としてキャプテンウルトラを制作しています。赤影が水曜日の午後7時、キャプテンウルトラが日曜日の午後7時の放映でした。怪獣ブーム全盛期の頃で、原作には出てこない怪獣や円盤などを登場させるなど、型破りな番組作りが、子どもたちの心を鷲掴みにすることができたのだと思います。

仮面の忍者赤影BGM 赤影のテーマ(theme of red shadow)

 当時は、仮面をつけ、刀を背中に差して、遊びまわる子どもがたくさんいましたし、自分もそうやって遊んでいました。誰が赤影、青影、白影の役をするのか。「じゃあ、僕は白影の役をやるよ」と言った子の心の深さをしみじみと感じたものです。その子は凧揚げが大好きでした。

色々の忍者

 赤影の仲間は青影と白影だけではありません。他にも影一族の忍者が登場しますが、その中で色がついているのは、優れた感覚能力をもつ黒影と火炎の術を操り、分身の術が得意な紅影です。

 赤影に登場する色は虹の七色ではありません。どちらかというと日本的な色です(虹の色の数と日本の文化-虹ができる仕組み⑥)。まんじ党七人衆も赤・青・黄・緑の4色以外は白・茶・白黒縞です。虹の7色にはしなかったというのがすごいところです。色ではありませんが、薄影という忍者も登場します。白・黒・白黒縞・薄影はアリストテレスの変改説を彷彿とさせます。

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