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2020年7月9日木曜日

レンズ|図解 光学用語

レンズとは(れんず、lens)

 レンズはガラスやプラスチックなど透明な材料で作られた光を屈折させて集めたり、広げたりする光学素子です。私たちの身のまわりには、メガネ、ルーペ、カメラ、望遠鏡、顕微鏡など、レンズを利用した道具がたくさんあります。また、DVDなどのドライブ装置、レーザープリンタやコピー機など光の技術を利用した装置の多くにレンズが部品として組み込まれています。レンズは“光技術の立役者”といってもよいでしょう。

 一般によく利用されているレンズは次の図のように丸い形をしていて、その片面もしくは両面が球面になっています。真ん中が厚くて周辺部が薄い球面をしたレンズを凸レンズ、真ん中が薄くて周辺部が厚い球面をしたレンズを凹レンズといいます。


凸レンズと凹レンズ

レンズという名前は植物のマメの名前に由来しています。そのマメの名前がずばりレンズマメ(レンズ豆)です。レンズはその形がレンズマメに似ていたからレンズと名付けられたのです。ですから、レンズという言葉には、見るという意味や、光を集める、物を拡大するなどレンズの機能に関係する意味はありません。


レンズマメ

 レンズマメは英語ではlentil、ラテン語ではlens、ギリシャ語ではphakosといいます。英語で眼の水晶体のことをlens、白内障などによる水晶体の欠損をaphakia(無水晶体)といいますが、これらの名前もレンズマメに由来しています。

 レンズは日本語でもレンズです。戦時中は英語の使用を避けるため中国語の透鏡という漢字が使われました。現在、日本でレンズを透鏡と呼ぶことはありませんが、眼鏡、顕微鏡、望遠鏡と呼ばれるように、レンズで作られている道具には鏡という漢字が使われています。

 凸レンズは光を集める働き、凹レンズは光を広げる働きがあります。


凸レンズと凹レンズの基本的な働き

 凸レンズは物体を置く位置を焦点の外側にするか内側にするかによって実像虚像を作ります。凹レンズは光を広げる働きしかないため実像を作りません。


凸レンズできる実像と虚像

 凸レンズで作られている身近な道具はルーペやカメラや老眼鏡です。ルーペで拡大されて見える物体は虚像です。カメラはフィルム面に物体の実像を写すことで写真を撮影します。老眼鏡は屈折力が弱くなった眼を凸レンズの光を集める働きで強めて視力を矯正します。

 一方、凹レンズは光を広げる働きしかないので、凹レンズ一枚で作られた身近な道具はほとんどありませんが、もっとも広く使われているものは近親の眼鏡です。近親の眼鏡は屈折力が強くなった眼の屈折力を凹レンズの光を広げる働きで弱めて視力を矯正します。

 望遠鏡やカメラのレンズはより綺麗な実像や虚像を得るため凸レンズと凹レンズを組み合わせて作られています。凸レンズと凹レンズを組み合わせることによって、レンズの焦点位置のずれを小さくしたり、色ずれを少なくすることが可能です。

 最近では表面が非球面の凸レンズや凹レンズが使われるようになっています。目的に合わせて、レンズの大きさや球面の形状を変えたり、複数のレンズを組み合わせたりすることによって、光の集まり方、光の広がり方、像の拡大率を意図的に決めてやることができます。レンズは、人類が光の屈折をたくみに利用するために生みだした道具といえるでしょう。

 図解 光学用語

 

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