白色とは
光の色としての白とは、太陽光や蛍光灯の光のように無色の光のことを意味します。このような光を白色光と呼びます。白色光は無色透明なので、明るい空間が見えるだけで、白色光そのものを白いと感じることはできません。これは日常の経験からもわかると思います。
物体の色としての白は、白色光で照らされた物体が白色光のほとんどを吸収せずに乱反射しているときに見える色のことを意味します。光源から出ている光線が白く見えることがありますが、これは光が空気中の微粒子で乱反射しているために光芒が見えるのです。光を見ているというより、光に漂う微粒子(物体)を見ていると言った方が的を射ています。赤色や青色などの色は、物体が白色光の一部の光を吸収し、それ以外の光を乱反射することによって生じます。
白い物体は元をたどると透明な物質です。白色光のもとで、氷やガラスなどの無色透明の物質を細かく砕くと、白色の微粒子になります。無色透明の物質の微粒子は白色光を吸収せず乱反射するため、白色に見えるのです。白色の絵の具は透明ではありませんが、基材(展色材)に透明な粒子を分散させたものです。白い紙は無色透明のセルロースの繊維がたくさん集まったものです。
黒色とは
光の色としての黒とは、光が存在しないことを意味します。例えば、テレビに表示されている画像の中で黒色に見える部分は、その部分が発光していないため黒く見えるのです。光がなければ、空間は漆黒の世界になりますから、黒を感じることはできます。光が存在しないのですから、「光の色としての黒」と言う表現は厳密には誤りでしょう。
物体の色としての黒は、白色光で照らされた物体が白色光のほとんどを吸収して反射する光がないときに見える色のことを意味します。私たちが物体を見たとき、物体から出てくる光を可視領域全域にわたって感じることができない状態のときに、私たちはその物体が黒色であると認識します。なお、黒い物体には黒光りしているものもありますが、これは光沢を与えて光を鏡のように正反射するようにしたものです。
灰色とは
白と黒の中間色を灰色と呼びます。光の色としての灰色は白色光の明るさで決まります。光の明るさが低くなると、空間が薄暗くなりますが、このときの光を灰色と感じることはできません。 物体の色としての灰色は、白色光で照らされた物体がある程度の白色光を吸収・反射しているとき見える色のことを意味します。灰色は物体の反射率で決まり、反射率が高いほど明るい灰色になり、低いほど暗い灰色になります。
白、黒を含め、白と黒の混色で生じる様々な明るさの灰色のことを無彩色と呼びます。無彩色は色味がなく明るさだけで決まる色です。これに対して、赤や青など、色味のある色を有彩色といいます。
無彩色は色なのか?
無彩「色」といいますが、無彩色はコントラストだけですから、色ではないのではないかという指摘もあります。確かに日常生活でも「白黒写真には色がついていないが、カラー写真には色がついている」などと言います。 一方で、白色の絵具、黒色の絵具という認識はありますし、色彩心理学では白に対するイメージ、黒に対するイメージなどと説明が出てきます。
白と黒は色なのか?この答えは物理的に一義的に決められるようなものではなさそうです。これは私見ではありますが、たとえば、白黒写真においては、白・灰色・黒を色として認知する人は少ないかもしれません。しかし、カラー写真においては、様々な有彩色と一緒に写っている白・灰色・黒は色と認知する人は多いのではないでしょうか。
無彩色は有彩色と一緒に存在しているときに、色と認知しやすいのではないかと思いますし、有彩色の知識と体験の記憶があれば、無彩色だけの部屋に入ったときなど、無彩色を色と認知する場合もあるかもしれません。
白と黒は色なのか?ー白と黒のはざまに(2)
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