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2021年9月16日木曜日

クール星人の宇宙船は光学迷彩|ウルトラセブン第1話「姿なき挑戦者」

 「地球は狙われている!いま宇宙に漂う幾千の星から恐るべき侵略の魔の手が」(浦野光)のナレーションから始まるウルトラセブン第1話「姿なき挑戦者」。

 クール星人が昆虫のような地球人を誘拐し地球防衛軍に全面降伏を求めてきますが、ヤナガワ参謀とヤマオカ長官がこれを毅然とした態度で断ります。

クール星人
地球人を昆虫呼ばわりするクール星人

 クール星人は宇宙船で京浜工業地帯の攻撃を開始、あたりが火の海と化します。ウルトラ警備隊の出動が必要な事態となりましたが、大きな問題がありました。

 それはクール星人の宇宙船の姿が見えないことでした。頭を悩ませながら作戦を考えるキリヤマ隊長。アンヌ隊員がご覧の通りの風来坊のモロボシ・ダンに何か良い作戦はないのか声をかけます。

アンヌ「ダン、あなたの地球がピンチにたたされているのよ。何か敵を倒す方法はないの?」

 地球人でもないのに「あなたの地球」と言われたダンですが、この言葉でダンは地球を守り抜く決意をさらに強くしたのでしょう。ダンはクール星人の宇宙船の秘密をウルトラ警備隊に教え作戦を提案します。

ダン「敵の宇宙船を見えるようにすることだ。あの宇宙船は保護色を使って姿を隠しているんだ。特殊噴霧装置を利用して、こちらで色を吹き付けてやれば、相手の正体がわかるはずだ」

 特殊噴霧装置は科学班の協力ですぐに作られ、ウルトラ警備隊はホーク1号で出動。ダンも搭乗して作戦に参加しました。作戦は見事に成功し、クール星人の宇宙船はその正体を現しました。クール星人はウルトラセブンとウルトラ警備隊によって撃退されます。

 さて、ここで問題です。SFで姿を隠すと言えば透明になるのが手っ取り方法ですが、クール星人の宇宙船は透明になるわけではないようです。どのような仕組みで姿を隠していたのでしょうか。

 その答えはダンの言葉の中にヒントがあります。それは「保護色」です。保護色は動物の体の色や模様によって背景と見分けがつかくなり敵から目立たなくなる体色のことです。 保護色は動物以外にも使われることがありますが、一般的には迷彩色と呼んだ方が適切でしょう。

Shapeshifting Octopus, amazing camouflage

解説記事:光と色と「これは凄い!タコの保護色による擬態

 つまりダンの説明によればクール星人の宇宙船はその表面をまわりの景色に合わせて変化させていたのであって、透明になっているわけではないことがわかります。

 迷彩色の原始的な方法はまわりの景色に同化できるような色を塗ることです。たとえば宇宙船を空の青色で塗れば目立たなくなります。

 しかしながら、クール星人の宇宙船はもっと先進的な方法でまわりの景色に合わせて色を変化させることができます。たとえばカメレオンは皮膚で周りの色を感じて、体の色細胞の大きさを変化させることによって体色を変化させることができます。

 宇宙船表面の色を変化させるようにするには表面にさまざまな色を出すことができる発光体を設置する必要があるでしょう。宇宙船の背景の景色の色をセンサーで感知し、その色の光を出すと宇宙船が目立たなくなります。また、宇宙船表面をスクリーンにする方法もあります。背景の景色をカメラで撮影し、映像をスクリーンに投影します。

Mercedes-Benz. The Invisible Drive. | Ridgeway Mercedes-Benz

解説記事:光と色と「光学迷彩で見えない透明な自動車

 昆虫のような地球人ができるのですから、クール星人にとっては簡単なことですし、ここで説明した内容を超える科学と技術の光学迷彩を採用しているかもしれません。ですが、ペンキを吹き付けられて姿を表してしまったことを考えると、クール星人の知識も昆虫レベルだったのかもしれません。

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