レンズには収差があり、光には回析限界があるため、光は1点に集まらず、点像はぼやけて、ある大きさの円盤状の形となります。この円盤のことを錯乱円といいます。像面上で像がぼやけていても、ぼけがある大きさになるまでは、ピントが合っているように見えます。像のぼけが許容される大きさの錯乱円を許容錯乱円といいます。
レンズでスクリーンに物体の像を映すとき、レンズとスクリーンの距離を多少ずらしても、像がぼけない範囲があります。この範囲を焦点深度といいます。焦点深度は、錯乱円の大きさが許容錯乱円よりも小さくなるところです。
Fナンバーと焦点深度、許容錯乱円径は、三角形の相似の関係から次の式で表すことができます。
\[ F = \frac{f}{D} =(焦点深度の1/2)/(許容錯乱円径ε) \]焦点深度 = 2Fε
この式から分かる通り焦点深度はFナンバーに比例します。たとえば、一般的なカメラのレンズの許容錯乱円は約0.03 mmです。焦点深度はF2.8では約0.17 mm、F16まで絞ると約0.96 mmとなります。
ところで近視の人が目を細めると遠くの文字が見やすくなりますが、これはF値が大きくなって焦点深度が大きくなるからです。
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