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2021年5月6日木曜日

Fナンバー|図解 光学用語

Fナンバーとは(エフナンバー、F-number)

 カメラのレンズにはF1.4とかF5.6という表記があります。これはFナンバーF値)や絞り値といわれるもので、レンズの明るさを示すものです。Fナンバーは、1枚のレンズでは次の図のように焦点距離fをレンズの有効径Dで割った値です。同じ焦点距離fのレンズでは、Fナンバーの小さいレンズほど、Dが大きいので明るいレンズということになります。


Fナンバー(F値、絞り値)

 有効径Dに対して像の明るさがどれぐらいになるのか考えてみましょう。直径Dの円の面積は で求めることができます。

 この式からレンズの有効径が2倍になると、レンズの面積は4倍になることがわかります。レンズの面積が大きくなるということは、より多くの光を取り込むことができるということです。つまり、像の明るさはレンズの有効径の2乗に比例します。

 また、光の強さは光源からの距離の2乗に反比例します。たとえば、光源からの距離が2倍になると、光の強さが1/4に減衰します。これは「物理量の大きさがその発生源からの距離の2乗に反比例する」という逆2乗の法則によるものです。このことから像の明るさは、焦点距離fの二乗に反比例します。

 Fナンバーはレンズの焦点距離fに比例し、有効径Dに反比例します。これは f が大きくなるとFが大きくなって像が暗くなり、Dが大きくなるとFが小さくなって像が明るくなることを意味します。つまり、像の明るさはFナンバーの2乗に反比例することになります。

 焦点距離 f が同じレンズでは、レンズの有効径がになるとレンズの明るさが1/2になるので、レンズの明るさはFナンバーが倍大きくなるごとに1/2、1/4、1/8、1/16……と低下します。これが、カメラのFナンバーが1.4の倍数になっている理由です。

 レンズの明るさは、レンズの材料の光の透過率やレンズの枚数によって変わります。Fナンバーはそのようなことを考慮していないため、同じFナンバーのレンズでも明るさが違う場合があります。そこで、Fナンバーに加えて光の透過率tを考慮したTナンバーを使う場合もあります。透過率tは光の波長によって変わるので、Tナンバーは光の波長によって変わります。

Fナンバー : 
Tナンバー : 

 Fナンバーは像が焦点の位置にできることを想定していますから、物体が無限遠にある場合に使います。物体が有限距離にあるとき、像面と焦平面が一致せず、像が後側焦点の外側にできます。そのため、像の明るさはその距離の分だけ暗くなります。

 物体が有限距離にある場合のFナンバーを実効FナンバーFeで表します。Feは次のように求めることができます。

 レンズの公式

を次のように変形します。

 ここでb/aは倍率ですからm=b/aとし、 b-f = b'とすると、次の式が得られます。

 このb'は焦点から像面までの距離に相当します。従って、Feは

と表すことができます。この式にD=f/Fおようび b'=fmを代入すると、

ゆえに

 

となります。

 なお、物体が無限遠にある場合は、焦平面と像面が一致するためb'=0となります。mが0となるため、FeとFの値が一致します。つまり、Feはレンズと物体の距離にかかわらず使用できるということです。

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2 件のコメント:

  1. Tナンバー,Fナンバーのところの式ががが

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  2. yjoさん、ご指摘ありがとうございます。キャプションが逆になっておりました。

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