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2021年2月1日月曜日

色の正体は何か?

 青い海・緑の木々・赤い夕焼け、私たちは様々な色で満ち溢れた世界で暮らしています。私たちが色を見るのは、光源を見ているときか、光で照らし出された物体を見ているときです。光源の色は、光源から出た光を直接見たものですから、光源から出る光が決まれば色が決まります。一方、物体の色は、光源から物体に届いた光のうち、物体が吸収せずに反射したり透過したりした光を見たものですから、光源の光と物体で反射したり透過したりする光が決まれば色が決まります。


光源の色と物体の色

 さて、私たちが見ている色の本質は何か。色に関する科学的な興味はまずそこに向けられるでしょう。色の本質が何かを突き止めたのはイギリスの物理学者アイザック・ニュートンです。ニュートンは1666年に太陽光をプリズムで分解する実験を行いました。


プリズムによる光の分散とニュートンの実験

 そして、ニュートンはこの実験の結果から次のようなことを確かめました。

  • 無色の太陽光をプリズムに通すと赤から紫までの色の光に分解できること
  • 分解した光を集め直すと無色の光に戻ること
  • プリズムで分解して得られた1つの色の光はそれ以上は分解できないこと
  • プリズムで分解して得られた2つの色の光を混ぜ合わせると別の色が生じること
  • 物体に当てる光の色によって物体の色が変化すること
  • 光そのものには色がついていないこと

 ニュートンの実験と検証により、長らく信じられていた「アリストテレスの改変説」が否定され、色がどのように生じるのか、その基本的な仕組みが明らかになったのです。

 ニュートンの実験からも分かる通り、色が光や物体に関連して生じることは明らかです。しかし、光そのものに色がついているわけではありません。また、物体の色は当てる光の色によって変わりますから、物体そのものに特有な色がついているわけでもありません。光や物体は、色を生じる役割を果たしているものの、色が見える本質ではありません。

 私たちが認識している色はヒトの色覚が認識しているものです。ココログ「光と色と」の「視覚が生じる仕組み 色が見える仕組み(3)」の説明の通り、私たちの色覚の働きなしには色は存在しません。光や物体は色覚が認識する色の条件を作っているにすぎません。

 つまり、私たちが認識している色というのは、眼に入ってくる光の情報をもとに脳内で作り出しているものです。もともと光や物体には色はついていません。脳がものに色をつけているのです。色は私たちが作り上げた概念にすぎません。私たちが見ている色とりどりの景色は私たちの脳内で作り出されているバーチャルな世界と言えるでしょう。

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