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2020年7月27日月曜日

ネギと光合成ー葉ネギと根深ネギの違い

ネギ(葱)にはどんな種類があるの

 私たちが普段食べているネギはユリ科の植物です(APG体系ではヒガンバナ科ネギ亜科ネギ属)。ネギは収穫時期によって夏ネギ冬ネギと呼ばれます。関東方面で好んで食べられている白い部分が多い根深ネギと関西方面で好んで食べられている緑色の部分が多い葉ネギの2つがありますが、どちらも同じネギの仲間です。根深ネギは一般に長ネギや白ネギと呼ばれています。葉ネギは万能ネギや九条ネギなど名称で呼ばれいます。

ネギの白い部分と緑色の部分

 長ネギの皮を剥ぐと白い部分も緑の部分も同じ組織であることがわかります。また、その内側の表面には連続して途切れのない平行線の模様がついています。この模様は単子葉植物の葉の特長である葉脈です。


根深ネギの葉の葉脈

 葉ネギはネギの緑の部分の葉を食べ、根深ネギは白い部分の茎を食べていると思っている人も多いかもしれませんが、実はどちらのネギも食べているのは葉で、ネギの茎は根の近くのごくわずかな部分だけです。ネギの葉はその短い茎を包み込むような構造になっています。葉植物の葉は茎側が表ですから、ネギの場合は表から見えている部分が葉の裏になります。

 根深ネギの畑を見ると、ネギの白い部分が土の中に埋まっていることがわかります。これは人間がネギの成長に合わせてわざと土を盛っているのです。それに対して、葉ネギは土を盛ることはありません。

【カインズ野菜栽培】 ネギ栽培|ねぎの育て方(初心者でも安心)

 なぜ根深ネギは土の中にわざと埋められるのでしょうか。土を盛るのは、ネギの葉に光が当たらないようにするためです。光が当たらない部分は、光合成ができないため緑色になりません。つまり、根深ネギはわざと光を当てないことによって白い部分を作っているのです。それに対し葉の部分がすべて光合成を行うことができる葉ネギは全体が緑色になるのです。

緑色の部分は光合成の工場

 植物は光合成によって無機物である二酸化炭素と水からブドウ糖をつくり、それをもとにデンプンやタンパク質など生きていくために必要なエネルギー源や体を作る物質を合成しています。

 光合成は主に葉の細胞で行われます。植物の葉が緑色に見えるのは細胞内に葉緑体がたくさん存在しているからです。葉緑体にはクロロフィル葉緑素)という色素が含まれています。

 光合成はクロロフィルが光を吸収するところから始まります。根から吸い上げた水が分解されて水素と酸素ができます。その水素と葉の気孔から取り込まれた二酸化炭素が反応しブドウ糖が作られ、酸素は放出されます。


光合成の仕組み

 光が当たらなくなると光合成ができなくなりますから、クロロフィルが少なくなって緑色が失われます。根深ネギのように、わざと光が当たらないように土を盛ると、植物にとっては栄養分を作る効率が下がります。まったく光が当たらないと、やがて枯れてしまいます。缶詰のホワイトアスパラガスも土の中で作られる野菜です。

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