光あるところに色がある。まこと艶やかな色に数知れぬ波長の光があった。
たくさんのヒーローがいますが、光や色に関係するヒーローは少なくありません。このシリーズは光と色に関係するヒーローを取り上げていきます。
第2回は月光のヒーロー「月光仮面」の登場です。
月光仮面は誰でしょう?
月光仮面は川内康範原作のテレビ番組・映画・漫画・アニメ「月光仮面」に登場する主人公の覆面ヒーローです。
昭和33年(1958年)に宣弘社とTBSテレビ(当時KRテレビ)によってテレビ番組が制作され、テレビ番組の放映と並列して映画が6本制作されました。
1972年にアニメ化され、タイトルが「正義を愛する者 月光仮面」に、主題曲がポップ調に、ターバンがヘルメットに、オートバイが最新のものに変更されるなど、当時の子どもたちに人気だったヒーローのような姿となりました。前年の1971年には仮面ライダーが放映開始となっています。
1981年にはアニメの姿を踏襲し、「月光仮面 THE MOON MASK RIDER」というタイトルで再映画化されました。1999年には「ごぞんじ!月光仮面くん」というギャクアニメも制作されています。
月光仮面は悪の結社の手によって人々が危機に陥ったときに登場する正義のヒーローです。その姿は、三日月のシンボルを飾った白ターバンと白マスクに黒サングラスをかけ、白い全身タイツに黒ベルト、白手袋に白ブーツ、腰に二丁拳銃、白いマントをひるがえしています。白黒のテレビ番組で白く見える衣装は、実際は薄黄色だったようです。
憎むな、殺すな、赦(ゆる)しましょう
月光仮面は「憎むな、殺すな、赦しましょう」と、罪を憎んで人を憎まず、悪人を懲らしめて改心させるという理念をもっています。二丁の自動式拳銃も悪人に対する牽制や悪人の武器を撃ち落とすために使い、悪人を傷つけたり、殺したりする目的では使いません。
月光仮面のシンボルが満月ではなく三日月となっているのは、人の善悪や、人の心の変化を月の満ち欠けで表現したからです。悪人といえども、今は欠けていたとしても、改心すればやがて満ちることができる、月の光は善人のみならず悪人も照らすという思いが込められています。
正義の味方
よく正義のヒーローのことを「正義の味方」と呼ぶことがありますが、月光仮面の原作者の川内康範さんは「正義の味方」をヒーローの立ち位置として定義づけました。川内康範さんは「正義の味方」のことと好んで「正義の助っ人」とも呼んでいたそうです。
月光仮面のヒーロー像は、現世に生きる人々に安らぎを与える薬師如来の右脇侍の月光菩薩をもとに考えられました。たとえると、月光仮面以前の多くのヒーローの立ち位置は薬師如来、つまり正義そのものでした。月光仮面の立ち位置は、そこから一歩下がった脇侍の月光菩薩、つまり決して正義そのものではないというものでした。薬師如来の左脇侍には日光菩薩もいますが、月光菩薩を選んだのは前述の月の満ち欠けの意味合いを持たせたからでしょう。「げっこう」の方がヒーローらしい語呂でもあります。なお、月光菩薩はがっこうぼさつと読みます。
さて、「正義の味方」ですが、本来の正義とは神仏のように普遍的なものです。一方、「正義の味方」は正義を守ろうとする者ではあるが、正義そのものではありません。そのため、「正義の味方」は、悪を懲らしめ、善を助けて、改心させようとしますが、裁きはいたしません!
そして、「正義の味方」は誰を守るのかという点において、普遍的な正義から外れた判断や行動をせざるを得ない状況になります。人類の正義は普遍の正義なのか、多くの「正義の味方」は悩み続けることになるのです。
本ブログのAuthorは、テレビ番組版「月光仮面」は見ていません。再放送もあまりやっていなかったように思います。月光仮面を認識するようになったのは、1972年のアニメ版でした。前年から仮面ライダーを見ていたので、アニメ版の月光仮面の姿はすぐに受け入れることができました。実は月光仮面の方が先だったというのは後から知ったように思います。
テレビ版の「月光仮面」をよく見たのは、昭和のヒーローブームがひと段落ついて、昔のヒーローを振り返るようなテレビ番組だったと思います。
月光とは
月光とは文字通り月の光のことで、月下、月華、月影ともいいます。ちなみに「星影のワルツ」という歌がありますが、星影は星の光という意味です。英語ではムーンライトです。
月光は月が太陽光を反射した光のことです。地球から月までは、およそ38万キロメートル離れており、月の表面で反射した光は約1.3秒で地球に届きます。
月の明るさは、月の満ち欠けによって異なりますが、満月のときが約0.25ルクスになります。満月は明るく見えますが、太陽は40万ルクスですから、太陽に比べるとずいぶん暗いこtになります。0.25ルクスは20メートル先から届く100ワット電球の光の明るさに相当します。
三日月の写真をよく見てみると、月が欠けた部分に月の丸い形がうっすらと写っていることがわかります。これは地球が反射している光が月の表面を照らしているためで、これを地球照といいます。
なお、月の光の色は月の高度や大気の状態によって変化します。この話は別の機会にすることとしましょう。
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