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2022年11月21日月曜日

ディオプター|図解 光学用語

ディオプトターとは でぃおぷたー、 diopter

 ディオプターはディオプトリとも言いレンズの度数(屈折力)の単位です。次の式のように焦点距離f(m)の逆数と定義され記号Dで表されます。1 Dのレンズはレンズの後側 1 mに焦点を結ぶ凸レンズになります。この式からDが大きいほど焦点距離が短くなることがわかります。

\[ D=\frac{1}{f} \]

 ディオプターは主に眼の屈折異常の矯正で用いられています。眼の屈折異常の度合いはその矯正に必要な眼鏡レンズのディオプターを用いて表します。次の表はディオプター(D)と焦点距離(f)の関係を表したものです。

D 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 5.0
f(m) 2 1 0.67 0.5 0.4 0.33 0.29 0.25 0.2

 凸レンズのディオプターは上表の通りで正の値ですが、凹レンズのディオプターは-1 Dのように負の値で表します。ですから凸レンズで矯正する遠視と老眼の眼鏡レンズのディオプターは正の値、凹レンズで矯正する近視の眼鏡レンズのディオプターは負の値となります。

 それでは正視の眼、近視の眼、老眼について考えてみましょう。

正視の眼

 眼は遠いところを見るときには水晶体を薄くし、近いところを見るときは水晶体を厚くしてディオプトリを変化させてピントを合わせます。

 正視の眼の遠点は無限遠のため f = ∞ として D = 0となります。一方、成人の正常な眼の近点を25 cmとすると f = 0.25 で D = 4 になります。つまり無限遠の遠点から 25 cmの近点のところまでを見るのに4 D分の屈折力を調整できるということです。遠点から近点までよく見える範囲を明視域といいます。明視域は近視や老眼などになると変わります。

近視の眼の場合

 -2 Dの近視眼は正視の眼に2 Dの屈折力を加えたのと同じです。つまり眼鏡などで近視の矯正をしていない状態でも2 Dの凸レンズをつけている状態と同じです。

 -2 Dの近視眼は焦点距離が 0.5 mになります。この0.5 mはこの眼で最も遠く見える位置である遠点に相当します。正視の遠点は無限大ですが近視眼の場合は増えたディオプターの分だけ遠点が近づきます。

 次に-2Dの近視眼の近点について考えてみましょう。先に述べた通り正常な眼の近点は 25 cmでディオプトリは4 Dとなります。近視の眼は老眼になっていなければ水晶体の厚みを変えて屈折力を調節することができます。-2 Dの近視眼で4Dの屈折力の調整ができる場合、近点は0.17 mになります。

\[ \frac{1}{D}=\frac{1}{(2+4)}=0.17 \]

 つまり-2Dの近視眼は眼鏡をかけていない状態で遠点50 cmから近点17 cmのところまでが見えることになります。

 この-2 Dの近視眼が0.5 m以上先がよく見えないため眼鏡で矯正が必要となります。この近視眼の矯正には -2 Dの凹レンズを使います。この眼鏡をかけると正視の眼と同じ状態になりますから、遠点は無限遠、近点は25 cmになります。

 まとめると4 Dの調整ができる -2 Dの近視眼は裸眼の場合は17~50 cm、-2 Dの凹レンズの眼鏡をかけた場合は25~無限遠までピントを合わせることができます。ただし眼に負担をかけることなく長時間にわたって近くを見ることのできる距離は矯正した近点の倍ぐらいまでと言われています。

老眼の場合

 老眼は眼の屈折力の調整力が低下した状態です。近視でなければ遠いところは良く見えますが、水晶体を十分に厚くすることができないため近いところが見えにくくなります。つまり遠点はそのままで近点が遠ざかった状態が老眼です。近いところを見るためには凸レンズで眼の屈折力を補強する必要があります。

 2 Dの老眼の焦点距離は0.5 mになります。この0.5 mは近点に相当します。ですから2 Dの老眼では0.5 mより近いところにあるものはよく見えません。読書をするときに眼と本の距離は0.3 mぐらいが適しています。0.3 mにピントを合わせたときの眼の屈折力は約 3 Dになります。2Dの老眼の近点を0.3 mにするためには 3 D - 2 D = 1 Dの凸レンズが必要になります。

 老眼は水晶体を十分に厚くすることができないだけですから裸眼では遠いところは良く見えます。すなわち遠いところを見る分には裸眼でも正視と同じです。しかし老眼鏡をかけた場合には凸レンズのディオプターの分だけ遠点が近づくため遠くが見えづらくなります。

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