幕末の頃と思われる古い写真が出てきました。写真には、西郷隆盛、大久保利通、勝海舟、坂本龍馬、桂小五郎、中岡慎太郎・・・、名だたる幕末の志士の名前が記入されています。そして左下には「写真撮影 上野彦馬 慶應元年(一八六五年)」とあります。
この写真は「フルベッキ群像写真」と呼ばれているもので、アメリカ合衆国に移民したオランダ出身の宣教師グイド・フルベッキとその子息を囲んで撮影した写真です。フルベッキは在米オランダ改革派教会から日本に派遣されました。1859年から亡くなる1898年まで日本に在住しました。
この写真はフルベッキを幕末の志士が囲んで撮影した一枚と言われることがありますが、記入されている幕末の志士の名前はフェークとされています。
それではこの写真はいかなるものかというと、長崎の英学校「致遠館」の学生がフルベッキを囲んんだ写真を、幕末の写真師・上野彦馬が1868年(明治元年)に撮影したものとされています。写真には後に政治家や官僚として活躍した人物も写っていますが、幕末の志士たちは別人です。
フルベッキ群像写真は昭和49年(1974年)に雑誌「日本歴史」でフルベッキを囲む幕末の志士たちとして紹介されました。雑誌ですから学術的な価値はありませんでしたが、夢のある写真でもあるためか、広まっていきました。「日本歴史」で紹介されたときには、特定された人物は22名でしたが、時の流れを経ていく中で増えていき、現在では(上記の写真)44人にもなっています。
フルベッキ群像写真は、繰り返し話題になるので、そのうち、また、幕末の志士の集合写真として紹介されるかもしれません。
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