夜空に輝く月の色は黄色ですが、昼間に見える月の色は白色です。どうして、昼間は月が白く見えるのでしょうか。
夜空の月の色はどうして変化するのか
月は太陽光を反射しています。その太陽光にはさまざまな色の光が含まれています。
プリズム分光 |ニュートンのプリズムの分散の実験をやってみた② https://opticaltale.blogspot.com/2020/07/blog-post_22.html |
夜空に輝く月の色は高度によって変化します。日没後、月が出たばかりのときを考えてみましょう。このとき月の高度は低く、地平線近くにあります。月で反射した光は大気中の長い距離を進みます。そのため、青色から緑色系の光は大気中で散乱してしまい、赤色系の光が地表に届きます。そのため、月がオレンジ色や赤色に見えます。
月の高度が高くなってくると、大気中での青色から緑色系の光の散乱が少なくなってきます。すると赤色系に加えて緑色系の光が地表に届くようになります。赤色と緑色の光が混ざると黄色の光になるため、月が黄色に見えるようになります。さらに高度が高くなると、青色系の光がより多く届くようになるため、月が淡黄色や白色に見えます。
このように夜空の月は高度によって、さまざまな色に変化します。もちろん、時間と高度だけではなく、大気中のチリや水蒸気の量も関係しています。そのため、より味わい深い色になります。
地平線にある月や高い高度にある月は1日のうちに限られた時間しか見ることができません。私たちが、普段よく夜空で見かける月はある程度の高度で黄色に輝いている月でしょう。
昼間の月が白色に見える理由
昼間は太陽光が満ち溢れています。そのため、太陽光の青色系の光が大気中でたくさん散乱しています。そのため昼間の空が青色に見えるのです。
空の色はどうして青色? https://optica.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/post-cdff.html |
夜空にある程度の高度で輝いている月の色は黄色ですが、昼間はその黄色の光に青空の光が混ざります。黄色光と青色光は補色の関係にあり、混ぜると白色光となります(白色LED電灯の白色光も青色光と黄色光を混色で作っています)。そのため、昼間の月の色は白っぽく見えます。また、月の高度が低いときも、太陽の高度が高ければ青色系の光がたくさん散乱しているため、月の色は白っぽくなります。
「補色」と「白色LED」については下記を参照してください。
「光の三原色」と「色の三原色」 色が見える仕組み(7) https://optica.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-ab6f.html 白色LEDのスペクトル https://optica.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/led-d2e3.html |
次のページに掲載されている写真は、国際宇宙ステーションから月を撮影したものです。宇宙空間で月は夜空と同じような黄色をしていますが、月が地球の地平線に沈んでいくとき、月が大気の青空に入ります。大気中に入った部分の色が白っぽくなっていることがわかります。
Supermoon. Moonset on the Orbit (photo) http://artemjew.ru/en/2014/08/10/moonset/ |
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